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【紀伊半島豪雨5年】妻と長女を亡くした那智勝浦町長 背中を見つめた長男の決意…復興誓う親子の絆

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【紀伊半島豪雨5年】
妻と長女を亡くした那智勝浦町長 背中を見つめた長男の決意…復興誓う親子の絆

寺本真一町長(右)と並んで手を合わせる長男の圭太さん。最愛の家族を失いながらも、責任を背負い、復興に尽くす父の背中を見つめてきた=4日、和歌山県那智勝浦町 寺本真一町長(右)と並んで手を合わせる長男の圭太さん。最愛の家族を失いながらも、責任を背負い、復興に尽くす父の背中を見つめてきた=4日、和歌山県那智勝浦町

 悲しみの日から5年-。死者・行方不明者が29人にのぼった和歌山県那智勝浦町で4日営まれた慰霊祭に、妻と長女を亡くした寺本真一町長(63)と長男の圭太さん(27)の父子がそろって出席した。最愛の家族を失った深い悲しみを抱えながらも、町長としての責任を背負い、町の復興に尽くす父の背中を見つめてきた圭太さん。「父のような強い人間になる」。父を追いかけながら、ともに前に進んでいくつもりだ。

 午後1時半、那智勝浦町内にサイレンが鳴り響いた。慰霊祭には遺族や関係者ら約130人が静かに黙祷(もくとう)をささげ、献花台に花を添えた。

 「犠牲者のためにも、二度と同じ悲劇を繰り返さない、笑顔あふれる町を取り戻す」

 心を込めて弔辞を述べる父。4年ぶりに慰霊祭に出席した圭太さんは、その姿を見つめ、2人そろって手を合わせた。

 5年前のこの日は、圭太さんの姉、早希さん=当時(24)=の結納が行われるはずだった。東京の大学に通っていた圭太さんも実家に帰る予定だったが、前日の3日、母の昌子さん=当時(51)=に電話で帰宅を止められた。

 「雨がひどいから、絶対に帰ってきちゃだめ」。それが、母との最後の会話になった。

「もう、お前一人なんや」

 翌朝、圭太さんの携帯電話に、父から数十件の不在着信が入っていた。「母さんと姉さんが流された」。かけ直して聞いたのは、父の衝撃的な言葉だった。

 看護師として患者に慕われ、家庭ではどんなに忙しくても手料理をふるまい、家族で囲む食卓を大切にしていた母。2歳年上の早希さんは、よく相談に乗ってくれる優しい姉だった。町長として多忙な父に代わり、圭太さんは母と姉の2人に支えられて成長した。

 「もう、お前一人なんや…」。受話器から聞こえる父の言葉を、すぐに受け止めることができなかった。

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