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【衝撃事件の核心】「月13万円」弟に介護託した姉 「認知症」で真意は薮の中…ドロドロ法廷闘争の行方は

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【衝撃事件の核心】
「月13万円」弟に介護託した姉 「認知症」で真意は薮の中…ドロドロ法廷闘争の行方は

弟に「介護報酬」として毎月13万円支払う―。姉が困窮する弟を思って交わしたとされる契約は、姉が認知症を発症したことで真意を確認できなくなり、家裁も打ち切りを指示。弟は訴訟に打って出たが… 弟に「介護報酬」として毎月13万円支払う―。姉が困窮する弟を思って交わしたとされる契約は、姉が認知症を発症したことで真意を確認できなくなり、家裁も打ち切りを指示。弟は訴訟に打って出たが…

後見制度の課題

 認知症などで本人の判断能力が衰えたときに法律的な支援をする成年後見制度には、症状が進んでから家庭裁判所が成年後見人を決める「法定後見」と、判断能力が十分なうちに、誰にどんな支援をしてもらうかを前もって決めておく任意後見がある。

 最高裁によると、法定後見の利用者は昨年末時点で18万9090人に上る。認知症の高齢者を狙った消費者被害などが後を絶たないことから、成年後見制度の利用者は年々増加している。任意後見を利用している人はわずか2245人に過ぎないが、国は積極活用を推奨している。

 だが、成年後見制度に詳しい国学院大の佐藤彰一教授(権利擁護)は「制度を監督する家裁には、財産管理という視点しかない。『お金を使わせない』ことが前提で、たとえ本人がお金を使いたいと思っても、その意思は尊重されていない」と指摘する。

 今回のケースで、姉が利用したのは任意後見契約だ。自分の財産をどう使うかを判断能力がある時点で選択していたにもかかわらず、財産保全の観点から家裁はその意向を認めなかった。

 今年5月には、成年後見制度利用促進法が施行された。同法の付帯決議でも「本人の自己決定権が最大限尊重されるよう現状の問題点の把握に努め」とされている。

 佐藤教授は「本人の意思を尊重しようと思えば、家族や介護施設の職員など関係者を集めて、『本人だったらどういう判断をするだろうか』ということを基礎に考えなくてはならない。だが、手間暇がかかる作業であり、今の裁判所にはそのノウハウも、時間をとる余裕もない」と話す。

 財産管理を厳格化する余り、本人の思いがないがしろにされては意味がない。佐藤教授は「社会福祉士などが中心となって関係者を集める場を作り、そこで意見が一致しなかったときに初めて家裁が関わる。そうした新たなシステムを模索する必要がある」とした。

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