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三反園氏「原発対応」で難しいかじ取り…国、九電の対応は不透明
10日投開票の鹿児島県知事選で「脱原発」を掲げた新人の三反園訓氏が、九州電力川内原発1、2号機の再稼働に同意した現職の伊藤祐一郎氏を破り当選した。ただ選挙戦では両者とも原発への言及は少なく、論戦は盛り上がらなかった。県民が脱原発に賛意を示したとは言い切れず、三反園氏は難しいかじ取りを迫られる。
伊藤氏は平成26年11月、再稼働に同意した。地元同意は稼働の前提とされるが、法的根拠はなく、仮に三反園氏が同意を撤回した場合、国、九電がどう対応するかは不透明だ。
熊本地震後、鹿児島でも川内原発の停止を求める声が高まった。原子炉は一定以上の揺れの強さで自動停止する。川内原発の場合、水平方向160ガル、垂直方向80ガルで止まる設計に対し、今回観測された最大値は8・6ガルだった。共産党が政府に予防的停止を申し入れたが、九電は安全上影響がないとして運転を継続。政府も「止める理由はない」(菅義偉官房長官)と追認した。
今月26日には四国電力伊方3号機(愛媛県)の再稼働が見込まれる。同原発を巡っては、熊本地震の震源域拡大による影響に関心が高まったが、四国電は工程を進めている。再稼働すれば国内の稼働原発は3基となる。10日の参院選の与党勝利を踏まえ、政府は再稼働を進める方針だ。
知事選で三反園氏は脱原発をビジョンに掲げ、地震を踏まえ川内原発を止めて施設の点検と避難計画の見直しを行うと公約に示したが、保守票を取り込むため脱原発を前面に出すことは回避。伊藤氏も脱原発の世論を警戒し、原発の必要性を訴える場面は少なかった。