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【西論】「山陰人」なんてありえない!参院合区は「切り張り」第一声から批判渦巻く

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【西論】
「山陰人」なんてありえない!参院合区は「切り張り」第一声から批判渦巻く

街頭演説の際に掲げる県選管発行の旗。合区に伴い、島根県側の旗(右)も、鳥取県側の仕様に統一された 街頭演説の際に掲げる県選管発行の旗。合区に伴い、島根県側の旗(右)も、鳥取県側の仕様に統一された

 参院選が22日に公示された。大きな特徴は、「一票の格差」を是正するための合区が導入されたことだろう。鳥取と島根両県、徳島と高知両県の選挙区が一つに統合され、憲政史上初めて県境をまたぐ選挙戦は、候補者の第一声からその合区への批判が渦巻いた。

◆東京-名古屋に相当する距離…有権者を遠ざける皮肉

 「人口が少ない所へのしわ寄せだ」「過疎が進む地方の声が届かない」「合区解消に向けて先頭に立って取り組む」…。

 だが、演説のトーンの高まりとは裏腹に、選挙に対する有権者の盛り上がりはいまひとつだ。投票率の低下も指摘されている。合区が有権者と候補者の距離を広げてしまったためだ。

 日本海側に面して東西に長い鳥取、島根両県。合区に伴って直線距離で東京-名古屋間に相当する東西約275キロ、面積は約1万215平方キロという長大な鳥取・島根選挙区(改選数1)が誕生したが今回の立候補者は3人だ。

 5分の1程度のコンパクトな面積に31人の候補者がひしめく東京選挙区(改選数6)と比べると、候補者の声が直接有権者に届く機会は極めて限られる。実際、農村部からは「合区で候補者が遠くなった」というあきらめに似た声も聞こえてくる。

 徳島・高知選挙区(改選数1)も状況は同様だ。選挙区は直線距離にして約250キロ、面積は約1万1250平方キロと鳥取・島根選挙区よりも広い。立候補した3人は徳島ゆかりの候補者ばかりで高知県民にはなじみがない。

◆「山陰人」はありえない

 合区への違和感の背景には、広すぎる選挙区に加え、人々の「郷土意識」がある。それは都道府県への帰属意識といってよいかもしれない。だからこそ、同じ地方だからといってひとくくりにできない事情が生じるのだ。

 例えば、鳥取県は明治4年に廃藩置県で誕生したが、9年に島根県に併合され、政治・経済の発展から取り残されてしまった。士族たちは生活の困窮の原因の一つは併合にあるとして、再置運動を繰り広げ、ようやく14年9月12日に「独立」を取り戻した。

 これは過去の話ではない。鳥取県は平成10(1998)年に、9月12日を「とっとり県民の日」と制定。現在もホームページでPRしている。人によっては島根との合区はこうした歴史を思い起こさずにいられない。「鳥取県人」があっても「山陰人」はありえないのだ。

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