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【井上章一の大阪まみれ】東京キー局、なぜ野球中継を見放した?

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【井上章一の大阪まみれ】
東京キー局、なぜ野球中継を見放した?

 二十世紀の後半には、地方局が地元のチームを、いっせいにあとおしする。放映権料の高い読売ではなく、コストがかからない地元球団の放映に、ふみきった。これにあおられ、地元にチームのある野球好きは、そちらへ心をよせるようになる。読売への気持ちは、払拭して。

 野球に関するかぎり、各地の地方局が、地元の自立をうながしたのだとみなしうる。関西圏の阪神ファンも、この全国共通といってよい趨勢(すうせい)によって、おおきくふくらんだ。そこに、関西や大阪の固有性は、量的な面をべつにすれば、見られない。

 この傾向は、全国的に読売のひいき筋をへらしている。かつては、読売対どこそこの中継を見たい読売ファンが、圧倒的な多数をしめていた。読売戦が全国ネットで高い視聴率を獲得したのは、そのためである。読売への一極集中こそが、野球放送を地上波の優良ソフトたらしめていた。

 しかし、今は野球好きの思いが、各地の地方球団へ分散されている。もう、どの球団も、全国ネットで視聴者をひろくひきつけることは、できなくなった。東京のキー局が、野球中継を見はなしたゆえんである。(国際日本文化研究センター教授)

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