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【理研が語る】タンパク質が集まるのに“号令”はいらない 細胞の自発性の起源

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【理研が語る】
タンパク質が集まるのに“号令”はいらない 細胞の自発性の起源

細胞膜(点線内)上で細胞の後ろ側を決めるタンパク質が集合している様子。白い点1つがタンパク質1分子 細胞膜(点線内)上で細胞の後ろ側を決めるタンパク質が集合している様子。白い点1つがタンパク質1分子

 同じ仕組みでタンパク質が細胞膜上に集合する。そして、ある種のタンパク質の集合場所が細胞の方向(極性)を決めている。アメーバや細菌のような単細胞生物であれば、移動するときの前後を決める。この仕組みの特徴はどこが集合場所になるかは偶然に任されることである。細胞は予測のつかない方向へ移動する。

 しかし、このおかげで細胞はあちこち移動して生存に適した場所を探すことができる。細胞が試行錯誤する自発性はタンパク質が“号令”なしに集合する仕組みによって生まれている。

 われわれはこの一部始終を少し工夫した光学顕微鏡を使って観察している。まさにタンパク質1分子がうろうろしながら集合する様子が見えている。肝はタンパク質が“付箋”を見つけたり張ったりはがしたりする過程にある。

 タンパク質がどこまで賢いのかを調べるために、われわれも知恵を絞っている。

     

 松岡里実(まつおか・さとみ) 大阪大大学院修了。平成23年より理研生命システム研究センター(QBiC)細胞シグナル動態研究グループに所属。学生のころより細胞性粘菌を用いて細胞運動を研究している。1分子から細胞までさまざまな顕微鏡で観察して統計解析しランダムに見える動きの中からルールを発見してきた。趣味は散歩。

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