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【WOMEN】
芸妓文化残したい 芸妓さんが「カフェ」開店 伝統文化の灯守る
粋な日本髪に着物姿で、踊りやお座敷遊びなど披露して宴席に花を添える芸妓(げいこ)さん。かつては、女性が芸で身を立てることができる数少ない職業だったが、戦後、女性の社会進出が進み、京都をのぞくと、全国的に芸妓のなり手は減る一方だ。「芸妓がいなくなれば伝統芸能の火も消える」。そんな危機感から再興を目指す芸妓たちがいる。
関西の奥座敷、神戸市北区の有馬温泉。観光客でにぎわう通りから細い路地へと入ると、チン、トン、シャン…と三味線の音が聞こえる。芸妓の稽古場がある「有馬検番」。その1階に、カフェ・バー「一糸(いと)」がある。
「おおきに、お友達と来てくださったんですね」
外国人女性と訪れた地元の女性客を笑顔でもてなすのは芸妓歴19年の一菜(いちな)さん。他の芸妓数人と交代でカフェで接客する。「芸妓を身近に感じてもらえたら」とほほえむ。
有馬の花街は昭和中期には芸妓の所属事務所にあたる「置き屋」が15軒あり、160人ほどの芸妓が活躍していた。しかし現在では、一菜さんの所属する「田中席」を残し置き屋はすべて廃業。芸妓も十数人しかいない。危機感を覚えた芸妓歴48年のベテラン、一七四(ひなよ)さんが客から寄せられた「日中も芸妓に会える場所を」との要望に応え、カフェを開くことに。昨年10月、オープンした。