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【鹿間孝一のなにわ逍遙】“アニキミクス”で関西を元気に

 アベノミクスが失速気味だ。日経平均株価は1万6000円を割った。さらに円高が加速している。

 訪日外国人の急増は円安が大きな理由だったから、「爆買い」にもブレーキがかかるかもしれない。

 となると、阪神タイガースに期待するしかない。

 関西ではタイガースは一大産業なのである。阪神甲子園球場やアクセスとなる阪神電車は言うまでもなく、関西で発行されるスポーツ新聞は1紙(どこかはおわかりでしょう)を除いて、タイガースがトップニュースである。勝てば売り上げが伸びる。球団グッズも飛ぶように売れる。さらに勝利の祝杯がもう一杯、もう一軒となって、ネオン街がにぎわう。産業としての裾野が広い。

 タイガースが優勝すれば、との前提でよく経済効果が試算されるが、他球団とは一ケタ違う。

 現役時代、「アニキ」と呼ばれた金本知憲新監督は「超変革」とスローガンに掲げている。

 アベノミクスでは「異次元」の金融緩和が話題になったが、今度は「超変革」の“アニキミクス”。いい響きではないか。

     ◇

 プロ野球が開幕して2週間。タイガースは確かに変わった。

 米大リーグに送り出した「火の玉ストッパー」の藤川球児投手が4年ぶりに復帰した。二軍には「ミスター・タイガース」の掛布雅之監督が就任して、熱血指導で若い才能が開花し始めた。

 ドラフト1位の「黄金ルーキー」高山俊外野手と、俊足・強打の横田慎太郎外野手の新鮮な1、2番コンビは「超変革」の象徴である。

 ファンは高揚している。首位の巨人に勝ち越して本拠地に戻ってきた。今日から甲子園球場で広島戦。ナイターにはまだ肌寒い季節だが、黄色く染まったスタンドの熱気があれば、きっとビールがうまいだろう。

     ◇

 古くからのタイガースファンはこれまで、昭和60(1985)年の記憶を肴に酒を飲んできた。

 本紙夕刊(大阪発行)にトラ番だった田所龍一編集委員が長期連載した「猛虎伝 昭和60年『奇跡』の軌跡」と「続・猛虎伝 『日本一』への祭典」に、あの興奮がよみがえり、涙腺がゆるんだ。

 連載に印象に残ったシーンがある。

 日航ジャンボ機墜落事故で当時の球団社長が犠牲になったショックもあって、8月半ばは連敗から抜け出せず、首位を明け渡した。先発投手陣が総崩れだった。

 広島遠征のホテルの一室に主力野手たちが集まった。

 「こうなったら、まだ、多少頑張っているリリーフ陣を先発させるしかない」

 「名案! ずっととは言わん。この連敗を抜けきるための緊急措置や」

 「そうや、福間-中西-山本和の3人で3イニングずつ投げたらええ」

 「それでいこ。岡田、お前、選手会長として今から監督の部屋へ行って言うてこい!」

 普通ならその場限りで終わる。選手が監督の采配に口を出すなど許されない。が、なんと岡田彰布選手会長は吉田義男監督の部屋をノックしたのである。さらに驚くことに、「そんな無茶な」と提案を一蹴した吉田監督が翌日の試合で、中継ぎの福間納投手を先発させ、順番こそ違うが、山本和行投手、中西清起投手へとリレーした。

     ◇

 これが阪神である。

 この年、21年ぶりにセ・リーグを制覇し、勢いに乗って初の日本一になった。だが、次のリーグ優勝まで18年のブランクがある。

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