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【理研CDBが語る】細胞の自律性の不思議に魅せられて

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【理研CDBが語る】
細胞の自律性の不思議に魅せられて

動物組織は複数種の細胞からできている(左)。酵素液でバラバラにしても(右)、立体培養すると元のパターンに戻る 動物組織は複数種の細胞からできている(左)。酵素液でバラバラにしても(右)、立体培養すると元のパターンに戻る

 この原理は、動物を形づくるためのあらゆる過程に当てはまると私は考えている。たとえば、脳が発生する過程をみると、個々の神経細胞が、別の特定の神経細胞を探し出してシナプスを形成し複雑なネットワークを作る。観察する限り、個々の細胞の自主的活動に依存しているように見える。

 私は、このような組織づくりにおける細胞の自律性に魅せられ、そのメカニズムを解き明かす研究に携わってきた。個体の行動は脳によって統御されるが、個々の細胞に脳はない。別の制御系が存在するはずだ。主役は、タンパク質間の相互作用と考えられるが、謎は謎を呼び、なかなか最終的な答えは見えてこない。

     

 竹市雅俊(たけいち・まさとし) 理研CDB高次構造形成研究チームリーダー。設立時から平成26年までセンター長。昭和57年、細胞同士を接着し、多細胞動物成立の根幹となる分子「カドヘリン」を発見。以来、組織形成の過程で細胞接着がダイナミックに再編成される仕組みや、がん細胞における細胞接着の異常などについて研究を進める。京都大学名誉教授。文化功労者。

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