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【坂口至徳の科学の現場を歩く】酒の弱さ影響…日本人に多い食道がん、原因遺伝子を発見 阪大・堺市立病院・九大病院、過去最大規模の解析

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【坂口至徳の科学の現場を歩く】
酒の弱さ影響…日本人に多い食道がん、原因遺伝子を発見 阪大・堺市立病院・九大病院、過去最大規模の解析

日本人に多い食道がんの遺伝子解析の方法(大阪大学提供) 日本人に多い食道がんの遺伝子解析の方法(大阪大学提供)

 食道はノドから胃まで飲食物を運ぶ体内の管で、そこに腫瘍ができる食道がんの細胞には大きく分けて2種類ある。管の内側の表皮にできる「扁平(へんぺい)上皮がん」と、粘液を分泌する腺(せん)細胞にできる「腺がん」で、人種によってどちらのがんが発生しやすいか特徴があることが知られている。欧米人は腺がんが50%以上だが、日本人の場合は、扁平上皮がんが90%以上にもなる。

 こうしたことから、日本人を対象に、このタイプのがん患者の遺伝子の解析や生活環境との関連を調べることにより、扁平上皮がんになる原因が突き止められ、予防や治療に役立つと研究が進められている。

 大阪大学大学院医学系研究科外科学講座の森正樹教授、堺市立総合医療センターの澤田元太医師、九州大学病院別府病院の三森功士教授、東京大学医科学研究所の宮野悟教授らの共同研究チームは、日本人の食道の扁平上皮がん患者144人を対象に喫煙、飲酒など生活習慣の調査と遺伝子解析を行った。その結果、このタイプのがんの発症の仕組みの中で特に重要と見られる15個の遺伝子をつきとめた。さらに、もともと遺伝子的にアルコールを体内で分解する酵素の活性が低いため、飲酒に弱い人がかかる食道がんに特徴的な遺伝子変異のパターンもわかった。新たな治療法の開発につながる成果は、米科学誌「ガストロエンテロロジー」の電子版に掲載された。

 研究チームは、人種によって食道がんの性質に違いがあるほか、遺伝的に飲酒に弱い人がかかりやすいとされ、喫煙や飲酒などの生活習慣も発がんに影響することから、日本人だけを対象にした過去最大規模の遺伝子解析による研究を行った。その結果、発がんを抑制する機能があるタンパク質の遺伝子(TP53)が非常に多い頻度で遺伝子異常を起こしていた。このほか、14種類の遺伝子で変異が見られ、本来の機能を果たさなくなるなどの現象が見られた。

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