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【2568の命】“猫の餌やり規制条例”(中)庭にフン、道に残飯…善意だけでくくれない餌やり、住民間トラブルも 和歌山県

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【2568の命】
“猫の餌やり規制条例”(中)庭にフン、道に残飯…善意だけでくくれない餌やり、住民間トラブルも 和歌山県

和歌山城でボランティアから餌を与えられる猫。不妊去勢手術を受けた猫は尻尾の毛を刈り取られている=和歌山市の和歌山城 和歌山城でボランティアから餌を与えられる猫。不妊去勢手術を受けた猫は尻尾の毛を刈り取られている=和歌山市の和歌山城

 「今日は寒いな」。2月中旬の和歌山城内(和歌山市)。訪れた主婦(61)がぽつりとつぶやくと、茂みの中から猫が次々と顔を出した。寒風吹きすさぶ夕暮れ時。主婦は毎日決まった時間に猫に餌を与えに来るといい、猫たちが食べ終わるやいなや、てきぱきと食べ残しや皿を片付けた。

 和歌山城では数年前からこうした愛猫家たちが餌やりのほか、繁殖を防ぐため不妊去勢手術にも取り組んできた。活動はすべてボランティアで、1匹あたり約2万円の費用は自腹で負担しており、手術が済んでいない猫との見分けがつくようにと、尻尾の毛を刈り取られた猫もいる。

 だが、善意の活動の裏で、悪質なケースも後を絶たないのが実情だ。和歌山城にほど近い雑居ビルには、「猫に餌を与えないでください」と書かれた張り紙。管理会社の担当者は「敷地内に残飯を置かれて困っている。衛生面も良くないし、テナントの人にも迷惑だ」とぼやいた。

「野良猫を一掃してほしいというのが偽らざる気持ちだ」

 こうした行為は地域内での軋轢も生んでいる。市内のある自治会では、猫に餌を与えている住民に改善を求めるチラシを配ったり、直接注意しに行ったりしても、聞き入れてもらえなかったという。実際、住民が餌を与えているのは自分の飼い猫だったが、餌箱が外に置かれていたため、結局野良猫が集まってしまい、車のボンネットの上に乗ったり、庭にふんをしたりなどの被害が自治会には寄せられていた。自治会では、猫よけの剣山を置くなどの対応を取ったが効き目はなかったという。

 昨年11月、県動物愛護管理条例改正への理解を深めるため、有識者や地域住民を交えて実施した討論会に出席したこの自治会の男性会長は、「野良猫を一掃してほしいというのが偽らざる気持ちだ」と訴え、早期の条例改正を求めた。

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