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【ビジネスの裏側】シャープ・鴻海の“決裂”を期待、未練隠せぬ革新機構…“成立”なら日本勢に脅威

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【ビジネスの裏側】
シャープ・鴻海の“決裂”を期待、未練隠せぬ革新機構…“成立”なら日本勢に脅威

郭台銘会長(右)率いる鴻海精密工業との交渉を本格化させたシャープの高橋興三社長(中央)。左は産業革新機構の志賀俊之会長 郭台銘会長(右)率いる鴻海精密工業との交渉を本格化させたシャープの高橋興三社長(中央)。左は産業革新機構の志賀俊之会長

 革新機構はこれまでにソニーと東芝、日立製作所の中小型液晶事業を統合したJDIや半導体のルネサスエレクトロニクス、ソニーとパナソニックの有機EL部門の統合会社へ出資している。技術や開発資金、人材を結集させた「日の丸連合」で海外勢に対抗する戦略をシャープの支援にも活用しようともくろんだ。

 シャープと主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行がぎりぎりまで革新機構の提案を受け入れる方向で調整を進めていたことから、革新機構の志賀俊之会長は「今年は日本の産業の再編元年になる」と構想の実現に自信をのぞかせていた。

シナリオ瓦解

 ところが、鴻海の巻き返しにより状況は一変した。4日のシャープの取締役会直前に、買収額を6千億円強から7千億円規模に引き上げたのだ。革新機構は3千億円の出資に加えて2千億円の融資枠も設定した。主要取引銀行による3500億円の債務削減を提案したが、鴻海側は、事業や雇用の維持、主力取引銀行に金融支援を要請しないことも示しており、内容的に有利に立った。

 金融機関関係者は「シャープを丸ごと買い取り、雇用維持も約束した鴻海案は『救済』、革新機構はあくまで『支援』だ。この差は大きかった」と明かす。

 シャープは社外取締役を中心とした「解体につながる」との反発に加え、主力取引銀行も「経済合理性では鴻海案だ」(幹部)との考えに傾いたことなどから土壇場で方針を転換した。革新機構はシャープとの協議を続けているが、出資額の引き上げなどは難く、起死回生は見込みづらい。リストラなどをめぐって認識の違いが表面化してきたシャープと鴻海の交渉決裂という“敵失”を待っているのが現状のようだ。

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