産経WEST

生肉集団食中毒事件、「同じ悲劇、もう二度と…」立件望んできた遺族

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新


生肉集団食中毒事件、「同じ悲劇、もう二度と…」立件望んできた遺族

 「食中毒を引き起こした責任を犯罪として問うてこそ、生食の怖さが社会に伝わるはず」。5人の命を奪った「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件。二度と同じ悲劇が起きないようにと、遺族は5年近く刑事事件としての立件を望んできた。

 富山県小矢部市の自営業、久保秀智さん(53)。平成23年4月22日、誕生祝いにと中学2年の次男=当時(14)=を砺波店に連れて行った。次男は翌日に食中毒症状を起こし半年後、亡くなった。

 遺族や被害者でつくる会「家族の絆」代表を務め「店で出るものは安全だと思っていたのに…。自分のようなつらい思いを誰にもしてほしくない」と訴え続けた。国は規制を強化したが、その後もなくならない食中毒事件のニュースに触れるたび、生肉を食べる危険性は一般に浸透していないと感じる。

 捜査が長期化する中、独自に責任追及を進めようと、えびすの運営会社「フーズ・フォーラス」や食肉卸会社「大和屋商店」を相手に東京地裁に訴訟を起こした。フーズ社は大和屋の保険金1億円を原資とする和解案を提示したが、一番に望んだ謝罪について話はなく、裁判の見通しもまだ見えていない。

 次男が生きていれば、来年には成人式を迎えていた。月命日の22日になると、いまだに同級生が自宅を訪れ仏壇に手を合わせていく。中学の卒業式の日に手作りの卒業証書を持ってきてくれた。次男が彼らの心の中で生き続けていると知りうれしく感じるが、ほとんどの人にとって自分に関係のない「昔の事件」として風化していくかもしれないと思うと怖くなる。

「産経WEST」のランキング