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【正木利和のスポカル】陸連の選考、世代の断層…福士の快勝劇があぶりだしたもの

 今回のレースは、その「第一人者」ぶりを証明するためにあった、といってもいいでき映えだった。ペースメーカーのタイムは5キロ16分40秒の「世界基準」に設定された。前回五輪代表の重友梨佐(天満屋)もナショナルチームの渡辺裕子(エディオン)もこのハイペースにふるい落とされ、中間点までつけた日本人は、福士と竹中理沙(資生堂)の2人だけだった。

 結局、キャリアに劣る竹中も25キロ手前で脱落、ペースメーカーがレースを離れたあとは、まさに福士の一人旅という「横綱相撲」を見せつけた。

 にもかかわらず、レース後、日本陸連幹部は会見で「1人がノミネートできたという位置づけになる」と、冷淡ともいうべき見解を示しただけ。これではリスクもいとわず高いペース設定に応える心意気を示した福士陣営に気の毒だ。

 現場には、五輪本番に余裕をもって臨みたい、という思いがある。強い選手にとって選考レースはあくまで通過点。だから、一刻も早く五輪へ、メダルへ向けての準備をしたい、というのは本音だろう。

 ところが、「中ぶらりん」の現状では、リオに向けて準備しようにも、身動きがとれない、というのが陣営の思いだ。それどころか、名古屋エントリーなどという不要なストレスまでかかっている。

 角度をかえれば、日本陸連の代表選手選考は「現場」をなおざりにしているようにも見える。

 このレースの後にあぶりだされたのは、そうした実情だった。

   □    □

 今回のレースが浮き彫りにしたものは、もうひとつある。まだ大丈夫だろうとあぐらをかいてる間に生まれてしまった「力」の断層である。

 福士の優勝タイムは2時間22分17秒。2位の堀江美里(ノーリツ)は2時間28分20秒。3位の竹中も2時間29分14秒。トップの福士から遅れること6分以上ということは、距離に置き換えれば、約1・8キロ以上の差ということになる。いわば40キロ走とフルマラソンほどの差だ。

 この断層は日本の女子マラソン凋落(ちょうらく)の構造的な問題を示しているといっていい。つまり33歳のベテラン福士に続く20代後半から半ばの世代のランナーが、異様に伸び悩んでいる、ということだ。

 このまま手をこまねいていては、自国開催の2020年東京五輪で惨敗ということにもつながりかねない危機…。

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