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【亀岡典子の恋する伝芸】江戸の片隅に生きた「庶民の女」のにおいがする…名人に聞く 歌舞伎俳優・澤村田之助(上)

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【亀岡典子の恋する伝芸】
江戸の片隅に生きた「庶民の女」のにおいがする…名人に聞く 歌舞伎俳優・澤村田之助(上)

インタビューに答える人間国宝の沢村田之助さん =東京都千代田区隼町の国立劇場(荻窪佳撮影)

 この人が演じる江戸の世話物には、はるか昔、江戸の町の片隅に生きた庶民の女のにおいがする。歌舞伎史上3人目となる「歌舞伎脇役」での人間国宝、澤村田之助さんは、紀伊国屋の貴重の芸風を守り続ける歌舞伎界の重鎮だ。長年、国立劇場歌舞伎研修の主任講師を務めるなど、後進の指導・育成にも尽力している。田之助さんに、自身の来し方を振り返ってもらった。今回は上の巻。

双葉山の歴史的取り組みを観戦

 --田之助さんは、紀伊国屋の御曹司として生まれ、子供のころから歌舞伎史に残る名優、六代目尾上菊五郎(1885~1949年)の薫陶を受けられました

 田之助 六代目の家に居候していた時期があったんです。随分かわいがっていただいて御世話になりました。ただねえ、大変だったのは、六代目が起きていると、子供でも寝ることはできないということ。正座しながら深夜2時まで起きて待ったこともありました。いま、考えますと、それも修業のひとつでしょうねえ。

 --子役時代、共演もありましたか

 田之助 六代目の辰五郎、十二代目片岡仁左衛門さん(1882~1946年)のお仲で「め組の喧嘩(けんか)」が出まして、その息子役をやらせていただきました。生意気なようですが、名人のお二人の間に入るのは、子供心にもすごくうれしかったのを覚えています。

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