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【iPS細胞講演詳報】「リスクゼロは不可能」「再生医療は人間を幸せにするのか」第一人者・高橋政代氏の情熱と苦悩

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【iPS細胞講演詳報】
「リスクゼロは不可能」「再生医療は人間を幸せにするのか」第一人者・高橋政代氏の情熱と苦悩

講演する理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダー。iPS細胞による再生医療について情熱と苦悩を語った=平成27年11月25日、大阪市

 「リスクをゼロにすることを求める声も多いが、臨床には必ずリスクがある。効果とリスクをきちんと評価するという考え方が大切だ」。世界初となる人工多能性幹細胞(iPS細胞)の臨床研究を手がけた理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーが昨年11月、大阪市内で講演した。「待っている患者さんのため、iPS細胞による再生医療を少しでも早く標準的な医療にしたい」としたうえで、日本の医療を取り巻く現状に苦言を呈した。iPS細胞の実用化で世界の先頭を走ってきた第一人者が明かす情熱と苦悩とは-。

臨床応用まで「20年」

 《高橋氏らのチームは平成26年9月、iPS細胞から作製した網膜色素上皮細胞のシートを「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」という目の難病の患者に移植する世界初の手術を実施した》

 iPS細胞という本当にすごい発見が日本から出た。(京都大の)山中伸弥さんが初めてヒトiPS細胞を作ったのが2007(平成19)年で、もう臨床応用が始まったのはすごく早いと思うかもしれませんが、実は私は1995(平成7)年ごろから(胚性幹細胞=ES細胞=などの)幹細胞の研究をやっているので、20年かかったことになる。そして理化学研究所でiPS細胞に出合い、動物実験からステップを踏んできた。

 最近思うのは、世の中には「変える人」と「変えない人」がいるということ。iPS細胞をめぐるさまざまな意見を聞いていると、「この人は変えたくないのだな」と思うこともある。10年前は「目の再生医療をやります」と言っても、周囲は「何を言ってるんだ」という雰囲気だった。臨床応用が実現するまでには、患者さんの信頼や学会からの理解、マスメディアに正しく伝えてもらうことなど、いろんなことが必要だった。

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