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【理研CDBが語る】空気を読む神経幹細胞…適切な時期・場所に、適切な種類・数の神経細胞を産生

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【理研CDBが語る】
空気を読む神経幹細胞…適切な時期・場所に、適切な種類・数の神経細胞を産生

マウス脳表面の大脳皮質。単なる多くの神経細胞の寄せ集めではなく、非常に精緻な層構造をつくっている

 最近、上下の顎の骨のなかに横たわって埋まっていた親知らず4本を、歯肉を切開し骨を削って一度に抜歯した。今みなさんが思ったように、私も相当痛い思いをするのではないかと覚悟していたが、全身麻酔薬を用いることにより、無意識のうちに無痛で抜歯することができた。

 全身麻酔薬で脳の機能を抑制すると私たちは意識を失い、無感覚になるということは、私たちは脳の働きによって自分たちの周りの世界を認識して日々暮らしていることを意味する。

 このような重要な機能をもつ脳はどのように作り出されるのか?

 生物学の授業で聞いたことがあるかもしれないが、そのはじまりは多様な神経細胞を作り出すことができる神経幹細胞である。

 ヒトの場合、神経幹細胞が妊娠6週目あたりから脳を作るために必要な部品である160億個もの神経細胞を、適切な時期、適切な種類、適切な数、適切な場所に産生することで赤ちゃんの脳は組み立てられていく。

 現在私は、正しい脳を組み立てるために、神経幹細胞がどのようにして神経細胞を作る適切なタイミングを知るのか、という問いに挑戦している。

 最近の私たちの研究によって、少なくとも一部の神経細胞が生み出されるタイミングは、体の設計図であらかじめ完全に決められているわけではなく、既にできている神経細胞の数と種類を周囲の細胞に教えてもらって臨機応変に決定しているということがわかった。つまり、神経幹細胞は周りの空気を読んで自分がとるべき行動をとっているのだ。

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