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【理研CDBが語る】「モザイクタイルのようなパターン」見せる気管支の細胞 生物の幾何学模様には意味がある

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【理研CDBが語る】
「モザイクタイルのようなパターン」見せる気管支の細胞 生物の幾何学模様には意味がある

マウス気管支を型にとった樹脂標本。根元が太く、先に行くほど分岐して細くなるフラクタル構造をしている。樹木の枝ぶりによく似ている

 梅雨明けのある日、西宮の北山緑化公園へ散策に赴いた。華やかなアジサイ花壇の前で足を止めると、咲き始めのガクアジサイを見つけた。

 ガクアジサイはアジサイの原種に近く、装飾花(アジサイを華やかにしている飾り花)が少なくて中央に100個ほどの両性花(本当の花、西洋アジサイでは装飾花に隠れている)の集団が大きく露呈している。花に顔をぐっと近づけて紫に色づいた小さなつぼみの配置を確認すると、なんだかワクワクしてきた。

 つぼみの集団は、紫に成熟したつぼみとまだ緑の未熟なつぼみが適度な間隔で混ざり合って、丸みを帯びた市松模様のようなパターンを描いている。生き物が見せる規則的なパターン、この美しい配列にいつもひきつけられてしまう。

 私は呼吸器、つまり肺と気管の研究をしている。それは生物のパターンの研究でもある。肺は血液に酸素を取り込み、代わりに二酸化炭素を排出する臓器だ。その役割を効率良くこなすため、肺は吸い込んだ空気を分岐した気管支で分散し、多くの肺胞へ行きわたらせる。気管支の分岐構造はフラクタル構造と呼ばれ、体積を最大限に活用する法則性を持った分岐パターンを示す。

 分岐のフラクタル構造は樹木の枝ぶりにも見られる。樹木の外側に付いた葉は効率的に光を受けるため、枝はお互いにほどよく間隔を開けた分岐を作りながら成長する。生物は生きるための生理機能を最大化するため、幾何学的なパターンを利用する。気管支の内側の細胞もモザイクタイルのようなパターンを見せる。

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