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【衝撃事件の核心】血ヘドはく「老老介護」破綻 鬼の形相で「殺せ!」と叫ぶ認知症母を殺害 長男は「ごめんな、ごめんな」と謝り続けた

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【衝撃事件の核心】
血ヘドはく「老老介護」破綻 鬼の形相で「殺せ!」と叫ぶ認知症母を殺害 長男は「ごめんな、ごめんな」と謝り続けた

認知症を患い、鬼の形相で「殺せ!」と叫ぶ92歳の母の胸に、71歳の長男は小刀を突き刺して殺害した。貧困の末の「老老介護」はもろくも破綻した 認知症を患い、鬼の形相で「殺せ!」と叫ぶ92歳の母の胸に、71歳の長男は小刀を突き刺して殺害した。貧困の末の「老老介護」はもろくも破綻した

 母親から「殺せ」と迫られることはこれまで何度もあった。そのたびに「アホなことを言うな」といさめてきた。本気で殺してほしいと思っているわけではない。ただの売り言葉だと分かっている。

 だが、このときばかりは違った。母の方ではなく、長男の受け止め方が。あまりの腹の痛みが、聞き流す余裕を、精神の均衡を奪っていたのだ。

「施設に入れるのはかわいそう」献身的な介護

 長男は23歳のころから大阪で社員食堂を経営。昭和62年、43歳のときに今の自宅を購入した。それを機に長崎県で1人暮らしをしていた母を呼び寄せた。「父を亡くして寂しいだろうから」と、おもんぱかってのことだった。

 平成8年に娘が嫁ぎ、12年に妻が他界。20年に息子も独立した。それから母親と2人きりになった。認知症が進行したのもこのころだった。

 母親は23年4月、要介護3の認定を受けた。被害妄想が始まると怒りっぽくなり、ときにコーヒーカップを投げつけてきたり、何度もじだんだを踏んだり、その行動は徐々にエスカレートしていった。

 ただ正気に戻ると、デイサービスで得意の俳句や川柳を披露しては仲の良いお年寄りと楽しそうに話し、社交的な一面も見せた。

 デイサービスや訪問介護の従業員によると、事件当時、母親は週5日の訪問介護と週3日のデイサービスを受け、長男も献身的に介護していた。食事や洗濯をすべて担い、母親がデイサービスから帰ってくると必ず玄関前で出迎え、手を引いて家の中に入った。

 公判に証人出廷した複数の介護関係者は「心から母親を大切にしていた」と口をそろえた。母親は施設の職員に「息子がよくしてくれるから、この年まで楽しく過ごせている」と自慢げに語っていたという。

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