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イランへの強制送還は違法「死刑の可能性高い」、大阪高裁

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イランへの強制送還は違法「死刑の可能性高い」、大阪高裁

 知人のイラン人を殺害し、大阪刑務所に服役後、イランへの強制退去を命じられた同国人の男性(46)が「送還されれば処刑される」として、国に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。石井寛明裁判長は「イランで死刑になる蓋然性が極めて高い」と判示。男性の請求を棄却した1審大阪地裁判決を変更し、送還先をイランとした部分を違法として取り消しを命じた。強制退去処分そのものは適法とした。

 控訴審判決によると、イラン・イスラム刑法は、イスラム教徒を殺害した者に報復刑を宣告し、処刑できると規定。回避するには、加害者側の資産を「血の代償金」として被害者遺族に差し出す必要がある。

 判決理由で石井裁判長は同じ事件を2度裁くことを禁じた「一時不再理」のルールがイランでは定まっていない上、被害者遺族が「血の代償金」を受け取っていないとみられることを指摘。「送還すれば公開の絞首刑もあり得る。日本の法制度に照らすと到底容認できない」と述べた。

 入管難民法は送還先について「国籍または市民権のある国」と規定。内戦状態にある場合などを例外としているが、判決は生命への差し迫った危険が予想される今回も例外に当たるとした。

 国側は「仮に処刑されるとしても、我が国とは別個の主権を有するイランが法に基づき判断するものだ」と主張。1審判決は「死刑にならない可能性もある」と処分を適法とした。

 男性は平成13年4月、名古屋市内でイラン人の知人男性を殺害し、14年に懲役10年が確定して服役。出所前の21年に強制退去を命じられた。男性は代理人を通じ「裁判所の判断に大変感謝している。生まれ変わったような気持ち」とコメント。国は「判決内容を精査して対応する」とした。

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