産経WEST

広島市の生活保護費問題、天引きの自治体後絶たず…制度上の不備や回収進まない実情

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新


広島市の生活保護費問題、天引きの自治体後絶たず…制度上の不備や回収進まない実情

生活保護非の支給総額の推移 右肩上がりに増えていく実情がよくわかる

 生活保護の過払い金の返還をめぐっては、これまでも自治体による毎月支給額からの「天引き」による徴収方法が問題となってきた。ただ、自治体が「違法」な手段に走る背景には、制度上の不備や思うように回収が進まない事情が見え隠れする。強制性を持たせなければ“もらい得”を増長する恐れもあり、厚生労働省も対応策の検討を始めている。

 過払い金は、財産を意図的に隠していたりする悪質なケースのほか、収入が実際より多くなったり、保険金が出たりするなど、算定額が変わって生じることがある。生活保護法では、この余分に受給者に渡った分は、一括返済が原則。ただ、悪質なケースでは、昨年7月の同法改正以降、本人の同意を得るなどして天引きは可能となったが、算定額が変わって生じる過払い金の天引きは禁じられ、本人の意思による返還を原則としている。

 生活保護受給者はもともと資力に乏しい。また、最低限度の生活は保障しなければならず、支給額から千円単位で分割返済されるケースがほとんどで「完済するまで相当長期を要する場合がある」(大阪府の担当者)という。

 その結果、思うように返還が進まず、厚労省によると、平成25年度に発覚した全国の不正受給総額約177億円に対し、同年度の回収分は約48億円。この回収分には前年の債権分が含まれる場合もあり、単純比較は難しいが、ほとんど回収できていないのが実情だ。

 今回問題となった広島市も、過払いによる債権は今年3月時点で9億7千万円に上る。債権は5年間で時効となるため、毎年1億4千万円程度が回収できずに消滅しているという。

「産経WEST」のランキング