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iPS細胞臨床1年「一定の安全性示す」拒絶反応、副作用なし

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iPS細胞臨床1年「一定の安全性示す」拒絶反応、副作用なし

臨床研究移植1年で、会見する高橋政代・理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクトプロジェクトリーダー(右)と栗本康夫・先端医療振興財団先端医療センター病院眼科統括部長=2日午前、神戸市中央区(沢野貴信撮影)

 理化学研究所の高橋政代氏らが実施した世界初の人工多能性幹細胞(iPS細胞)による臨床研究は、手術から約1年の経過観察で拒絶反応や副作用はなく、患者の状態は良好であることが報告された。一部で懸念されたがん化もなく、iPS細胞による再生医療について一定の安全性が示されたといえる。(1面参照)

 これに続き、京都大では政代氏の夫でもある高橋淳教授らがiPS細胞でパーキンソン病を治療する臨床研究を近く申請する予定。ほかにも国内では輸血用血小板の供給や重症心不全の治療といった臨床研究が計画されており、先行する理研の事例で安全性への評価が高まったことで、iPS細胞の臨床応用への取り組みが加速しそうだ。

 ただ、患者の皮膚からiPS細胞を作製し、網膜色素上皮の細胞シートに加工して網膜細胞を移植する手術は、当初、6例の症例を目標としていたが、2例目として準備を進めていた患者由来のiPS細胞に複数の遺伝子変異が見つかり、移植を見送った。

 今後は患者から作製したiPS細胞ではなく、京都大が備蓄する、拒絶反応の少ない他人の細胞から作ったiPS細胞を使う計画も併用する方針だ。

 1例目となった今回の臨床研究も、さらに3年間の追跡調査を行うことになっている。

 また、今回かかった費用は1億円とも言われており、iPS細胞による再生医療の実用化を視野に入れれば、今後は治療効果がコストに見合うかなどの検証が必要となる。

 多くの患者が恩恵を受けられるようになるまでには、必要な細胞の大量供給や培養にかかる時間の短縮といった課題をクリアする必要があり、普及を支える技術の開発が急務になっている。

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