産経WEST

【理研CDBが語る】細胞の中をめぐる旅 分子の物流の仕組みがみえてきた

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【理研CDBが語る】
細胞の中をめぐる旅 分子の物流の仕組みがみえてきた

細胞の中に張り巡らされた「微小管」と呼ばれるレール。この上を分子モーターは荷物を背負い走っていく

 科学者の仕事の一つは旅をすることである。

 学会などのために各地に赴き、他の研究者と会って語らうことは、研究の動向を知るために重要なだけではなく、自分の研究の立ち位置を確認し、新たな研究の着想を得る機会となる。海外に赴く場合には飛行機による移動となるが、時に生じるトラブルとしてロストバゲージがある。

 筆者にも経験があるが、出発時に預けた荷物が目的地に届かなかったときの落胆は形容しがたい。しかし、一日に往来する飛行機の数を考えるならば、預けた荷物がきちんと目的地に送り届けられるのは驚くべきことである。

 私たちの体を作る細胞の中でも、多くの分子が荷物として細胞内のさまざまな目的地に送り届けられている。細胞内で荷物を運ぶのは「分子モーター」と呼ばれるタンパク質だ。分子モーターは細胞内に張り巡らされた「微小管」と呼ばれる幅わずか25ナノメートル(1ナノは1ミリの100万分の1)のレールの上を走り、細胞の隅々にまで荷物を運んでいく。

 一つの細胞の中のタンパク質の数は数十億個ともいわれるが、これらはわずか数十種類の分子モーターによって運ばれる。時には間違った場所に荷物を届けてしまいそうだが、そうはならない。いったいどうやって分子モーターはさまざまな荷物を正しい目的地に運ぶのだろうか?

 その秘密は分子モーターに荷物を積み込むのに使われる「アダプタータンパク質」にあるようだ。さまざまなアダプターを使い分けることによって、一つの分子モーターでも多種多様な荷物を運ぶことが可能となっている。

このニュースの写真

  • 細胞の中をめぐる旅 分子の物流の仕組みがみえてきた

「産経WEST」のランキング