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【理研CDBが語る】生命の不思議探る知の冒険へ 世界をリードする精鋭たちの研究

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【理研CDBが語る】
生命の不思議探る知の冒険へ 世界をリードする精鋭たちの研究

発生中のニワトリ胚。たった1つの細胞から体をつくっていく複雑な多細胞システムが生まれる様子が分かる

 病気になると、正常であることがいかに奇跡的であるかを痛感する。考えてみれば、人の体は何と複雑なことか。数十兆もの細胞(世界人口の数千倍!)がひしめき合いながら体の随所に精巧な組織や臓器をつくり、そこに交通網(血管)や情報網(神経)を張り巡らせて全体の維持と調和を図っている。これほどまでに複雑なシステムがたった1つの細胞から、しかも自律的に生じるとは一体どういうことか。

 この壮大な疑問の鍵を握るのは、はるか38億年の歴史が刻まれたDNA。生命はその誕生以来、長い期間を単細胞で過ごしたが、やがて多細胞となり役割分担することをおぼえ、体を複雑化、多様化していった。同時に1つの細胞から体を組み上げる発生のプロセスが必要になり、そのための設計図と手順をDNAに刻んだ。

 受精卵に始まる数々の細胞が設計図をいかに読み取り、自らの役割を定め、集団として組織や臓器をつくっていくのか-。この疑問に答えることは、発生異常としての病気の仕組みを理解することでもある。

 一方、シャーレの中で組織や臓器を「つくる」試みも進む。受精卵に近い性質を備えたES細胞やiPS細胞は、高い増殖性を示し、体をつくるあらゆる種類の細胞に成長できる。適切な培養条件さえ見つかれば、望みの細胞や組織、さらには臓器を導くことができるはず。これはシャーレの中で発生を部分的に再現する試みであり、そのことを通して発生メカニズムの理解も進むだろう。人の細胞や組織が供給可能になれば、再生医療や薬の開発、医学研究に与えるインパクトは計り知れない。

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