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【関西の議論】医療用麻薬「事実無根のタブー視」(下)「依存症になる」の誤解蔓延 痛み治療が〝中毒〟にならないメカニズム

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【関西の議論】
医療用麻薬「事実無根のタブー視」(下)「依存症になる」の誤解蔓延 痛み治療が〝中毒〟にならないメカニズム

痛みは単に身体的なものにとどまらない。心理面、社会面、スピリチュアル面にまたがる全人的苦痛(トータルペイン)と捉えるのが今の主流となっている。それを和らげる有効な手立ての一つが「オピオイド鎮痛薬」だ

トータルペインとは

 日本ではオピオイドへの理解がまだまだ不足しており、「欧米に比べて使用が広がっていない」ともいわれる。その論拠としてよく用いられるのが、厚労省がまとめている医療用麻薬の国際比較データだ。

 例えばモルヒネ。100万人の1日あたり消費量でオーストリアは503・1グラム、米国209・8グラムに対し日本はわずか7・5グラム。オキシコドンは米国の799・1グラム、カナダの572・1グラムに対し日本は12・7グラムにとどまっている。

 だから欧米に比べて遅れている-かといえば「そう単純ではない」と、日本緩和医療学会の細川豊史理事長(京都府立医大教授)は指摘する。

 前回も触れたように、米国では非がん性の痛み、つまり関節痛や頭痛、腰痛であってもオキシコドンが処方されている。がん患者に使用が限定されている日本とは状況が違うのだ。

 国際比較のデータには出てこないが、あへん由来のオピオイドの一つにトラマドールがある。軽度から中等度の痛みに使われる薬だ。

 トラマドールは麻薬に指定されていないため、医療用麻薬ではないが、オピオイドという意味ではモルヒネやオキシコドンと同じ。「使い勝手がよく、日本の臨床現場ではよく用いられている」(細川理事長)という。

 確かにオピオイドへの理解不足はあるだろう。ただ各国の保険・医療制度、環境によって薬の使われ方は異なる。現状を知らずに、欧米に比べて多い少ないを論じてもあまり意味がないというのが、細川理事長の見方だ。

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