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【衝撃事件の核心】「お前死ね、殺すぞ」深夜の連続コールにヘルパーブチ切れ 〝修羅場〟の認知症介護 慢性的な人手不足の実態

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【衝撃事件の核心】
「お前死ね、殺すぞ」深夜の連続コールにヘルパーブチ切れ 〝修羅場〟の認知症介護 慢性的な人手不足の実態

慢性的な人手不足に陥っている過酷な高齢者介護現場。認知症の入所者が鳴らし続ける意図不明のナースコールにヘルパーのいらだちが頂点に達し、トラブルに発展するケースも少なくない 慢性的な人手不足に陥っている過酷な高齢者介護現場。認知症の入所者が鳴らし続ける意図不明のナースコールにヘルパーのいらだちが頂点に達し、トラブルに発展するケースも少なくない

 録音を聞き、ヘルパーから暴行を受けていると確信した次男は特養に抗議し、大阪府警に被害届を提出。ヘルパーは22年1月に辞職し、同年4月には脅迫罪で罰金刑を受けた。大阪市も特養に調査に入り、虐待があったとして再発防止策を提出させた。

 しかし、特養側は男性側に謝罪する一方、ヘルパーによる暴行は一切認めなかった。納得できない次男と男性は昨年、特養の運営法人に慰謝料300万円の支払いを求める訴訟を大阪地裁に起こし、ICレコーダーを証拠提出した。

 地裁は今年7月の判決で、音源をもとにヘルパーが暴言を吐いたり、パジャマを破る暴行を働いたりしたと認定。「介護の範囲を逸脱した違法行為で、運営法人には使用者責任がある」として法人に慰謝料60万円の支払いを命じ、確定した。

 次男は判決後の記者会見で「認知症のために父が法廷で証言できない中、ICレコーダーの音源だけでここまで戦うことができた。身辺録音は高齢者虐待の抑止力になる」と話した。

 ただ、判決は「男性はナースコールを控えてほしいと要請されながら、必ずしも緊急事項とはいえない苦情を繰り返した」とし、いらだちのあまり突発的に感情を爆発させたヘルパーに一定の“同情”を示した。さらに「慢性的な人手不足から、身体的にも精神的にも過酷な介護の現場の実情を考えると、懲罰的な慰謝料を算定するのは相当でない」とも言及した。

過酷労働、求人集まらず

 判決も指摘したように、トラブルの背景には介護職員の人手不足がある。

 介護保険制度が創設された平成12年度に約55万人だった介護職員は、25年度には約171万人に増えた。

ただ、団塊の世代が75歳以上となる37年度には約253万人の介護職員が必要になると国は試算しており、現状の増員ペースのままでは38万人もの人手が不足する恐れがあるという。

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