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減り続ける「街の本屋さん」 ある老店主の“遺言” 「本を届けたい思い」受け継ぐ娘

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減り続ける「街の本屋さん」 ある老店主の“遺言” 「本を届けたい思い」受け継ぐ娘

隆祥館書店の店長・二村知子さん(右)=6日午後、大阪市中央区(沢野貴信撮影)

 経営は楽ではないが、知子さんは店を続ける覚悟だ。20年ほど前から経営に関わるようになり、父娘で「街の本屋」の役割を考えてきた。作家と読者をつなぐため4年前からは「作家を囲む会」を定期的に開いている。これまでにいずれも大阪出身で芥川賞作家の津村記久子さんや柴崎友香さんも参加した。

 「言葉の力 活字の力が人々の心を支えた」

 4年前、二村さんがこのメッセージを店内に掲げた。東日本大震災の被災地で、いち早く再開した書店に人が押し寄せているというニュースがきっかけだった。このニュースを聞いたときの二村さんのうれしそうな顔を思いだしながら、知子さんはこう話した。

 「父は、本が人の人生を変えるようなすばらしいものだと信じていたし、地域の人や子供たちに本を届けたいと思い続けていた。その思いを受け継ぎたい」

減少の一途、街の本屋

 お笑い芸人の又吉直樹さんの著書「火花」が芥川賞を受賞し出版業界は盛り上がりをみせるが、全国の書店は減少の一途をたどる。

 書店の実態に詳しい出版社アルメディア(東京)の調査によると、平成27年5月の全国の新刊本を扱う書店数は1万3488店で、前年同月に比べ455店が減少。1日1軒以上の書店がなくなっている計算になる。

 本を1冊売ったときの書店の利益は約2割といい、日本書店商業組合連合会によると、これまでは薄利多売で経営を維持してきたが、本が売れず出版業界全体が不況に陥る中、持ちこたえることができない書店が相次いでいるという。

 同連合会の石井和之事務局長は「もはやもうからない仕事とされ後継者不足も課題。地域のためにと高齢の店主が年金をつぎ込みながら書店を続けている店もある」と話している。

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