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減り続ける「街の本屋さん」 ある老店主の“遺言” 「本を届けたい思い」受け継ぐ娘

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減り続ける「街の本屋さん」 ある老店主の“遺言” 「本を届けたい思い」受け継ぐ娘

隆祥館書店の店長・二村知子さん(右)=6日午後、大阪市中央区(沢野貴信撮影)

 客とのコミュニケーションも大切にした。二村さんの死後、20年来の常連客からこんなメールが届いた。

 「昔、20代の若造の私がおっちゃんに『バカな本や漫画とかばっかり買ってゴメンね』って言ったら、真顔で『それでいいんですよ。どんな本にも意味があるんです。絵でも文章でもふれることで知識になるから。頭の中に入ればどこにでも運べるから』と言われました」

経営は楽じゃないが…

 二村さんは今年1月まで店に出ていたが、2月に肺炎が原因で亡くなった。

 突然の訃報(ふほう)を客に伝える意味も込め、長女の知子さんは二村さんの文章を「隆祥館書店ニュース」として店頭に置いた。

 文章には、経営が苦しいながらも頑張る理由や書店の役割が書かれていた。

 《子供たちに読書を広め、その読書力に貢献し、遠くまでゆくことのできないお年寄りの読書の力添え、作家と読者への橋渡し、そしてその心の交流、出版をただ売れればいいという商業主義の餌食にすることなく、出版を文化として作家を支え、読者が出版を育てるこの仲介者が書店と考えております》

 同店のファンの一人で大阪市天王寺区の出版社、星湖舎(せいこしゃ)社長の金井一弘さん(59)は、同社の投稿誌「星と泉」で二村さんの文章全文を掲載した特集号を6月に発行した。読者の反響は大きく、追加注文もあり増刷を検討中という。

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