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被爆2世の健康不安尋ねる項目追加へ 厚労省調査

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被爆2世の健康不安尋ねる項目追加へ 厚労省調査

 厚生労働省が、今秋に実施する予定の被爆者の実態調査で、被爆者自身や家族だけでなく、被爆者の子供である「被爆2世」の健康に不安がないかどうかを尋ねる質問項目を設けることが5日、厚労省などへの取材で分かった。

 具体的には、被爆者の心配事を尋ねる質問の回答の選択肢の一つに、「子や孫の健康」を追加。国による被爆2世に関する健康調査はこれまで実施されたことがなく、被爆者団体の関係者らは「被爆2世の健康の把握から、対策の必要性を訴える大きな一歩につながる」と期待している。

 被爆2世への健康調査は、放射線の遺伝的影響を明らかにする目的で、日米共同の調査研究機関「放射線影響研究所」(放影研、広島市、長崎市)が実施している。しかし親の被爆と子供の健康被害の因果関係は、現時点では科学的に明らかになっていない。

 国による被爆2世への健康調査や医療補償策などにはつながらず、全国の被爆者団体でつくる「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協、東京)などが2世の実態調査や医療支援などを国に要請している。

 実態調査は、厚労省が国内外の被爆者健康手帳所持者を対象に、昭和40年から10年ごとに実施。被爆者の生活や健康などを尋ねる内容で、前回(平成17年)は計約6万8千人に行った。

 今回は、心配事を尋ねる項目の選択肢の一つに「子や孫の健康」を新たに追加。これまでの調査では、「自分や家族の健康」という選択肢があり、「心配事がある」と答えた人のうち、前回は国内で54・4%、国外で75・0%が選んでいた。

 選択項目を新設したことについて、厚労省の担当者は「調査内容を検討する検討会で、有識者から『家族』の内容を細分化すべきだ、との声があったため」と説明している。

 日本被団協の田中煕巳事務局長(83)の話 「たとえ一つの質問であっても、国が被爆2世の健康を把握しようと、質問を新設したことの意義は大きい。被爆2世の健康面の実態は明らかになっておらず、これまでに被爆者健康手帳の交付など医療支援を求めてきたが、それも実現していない。被爆2世への放射線の遺伝的影響は明らかになっていないものの、個人的には被爆2世や被爆3世は、若くして白血病やがんを発症する人が多いように感じる。詳細に調べれば違いが出てくるはずだ。今回の調査で、子孫の健康を心配する被爆者が多いことが明らかになれば、対策を取る必要性があることを厚労省や世論に強く訴えていくことができる」

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