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【戦後70年】闇市から始まった大阪の名物喫茶店 94歳で現役を貫くオーナーの劉盛森さん 

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【戦後70年】
闇市から始まった大阪の名物喫茶店 94歳で現役を貫くオーナーの劉盛森さん 

劉盛森さんがオーナーを勤める喫茶店「マヅラ」=20日、大阪市北区梅田(門井聡撮影)

 昭和20年の空襲で焼け野原と化した大阪駅周辺には終戦直後、闇市が広がった。その闇市で喫茶店を開き、今も店頭に立ち続ける男性がいる。喫茶店「マヅラ」のオーナー、劉(りゅう)盛森(せいしん)さん(94)だ。戦後70年を経て、高層ビルが立ち並び、再開発が進む大阪の玄関口で、劉さんが考案したノスタルジックなマヅラの店内は昭和の雰囲気を今に伝えている。(田中俊之)

 「いらっしゃいませ、どうぞ!」。大阪駅前第1ビル(大阪市北区)の地下。店の入り口で軽快に客を呼び込む劉さんの声が響く。

 約100坪の広々とした店内で、凸凹のある群青色の天井は月のクレーターを、つり下がった無数の電球は輝く星を、壁や柱の鏡張りは宇宙の無限の広がりをそれぞれ表現している。まるで往年のキャバレーのような雰囲気でもある。

 「宇宙船みたいでっしゃろ。天井を見上げれば宇宙から見た地球の群青色ですわ。仕事を忘れて夢を見ている気分を味わえまっせ」と自慢の内装を紹介する。

 第1ビルに移転したのは昭和45年だが、創業は終戦直後の22年までさかのぼる。大阪で商社マンとして働いていた劉さんが、脱サラをして大阪駅前の闇市の一角に約15坪の名曲喫茶を開いたのが始まりだ。

 劉さんは当時日本の統治下にあった台湾の農家に生まれた。大学卒業後の16年、単身大阪に渡り、綿布を扱う商社に就職。20年には大阪の街を焼き尽くした空襲も経験した。「シューシューと焼夷(しょうい)弾がどんどん落ちてきて瞬く間に焼け野原になってもうた。悲惨やったな」。

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