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【「絶歌」出版1カ月】印税2千万円超、匿名…「少年法の陰に隠れて卑怯」 問われた出版の良識、内容に社会性はあったのか

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【「絶歌」出版1カ月】
印税2千万円超、匿名…「少年法の陰に隠れて卑怯」 問われた出版の良識、内容に社会性はあったのか

神戸・連続児童殺傷事件をめぐる動き 神戸・連続児童殺傷事件をめぐる動き

「サムの息子法」導入議論も

 今回の出版は印税の行方にも注目が集まった。

 絶歌は税抜き1500円で初版10万部。6月末には5万部が増刷された。加害男性に入る印税は2千万円以上とみられる。「遺族への賠償金に充てるべきだ」との声も上がるが、加害男性は使い道を明らかにしていない。

 こうした状況の中、新たな議論として浮上しているのが、日本版「サムの息子法」の導入だ。

 サムの息子法は自ら起こした犯罪を基に利益を得ることを禁じた米国の法律。1976~77年、ニューヨーク州で発生した連続殺人事件の犯人が名乗った偽名に由来する。犯人の手記を出すため、出版社が多額の報酬を持ちかけたことが問題となり77年、同州で制定された。

 約40州で同様の法律が制定され、自らの犯罪を利用して得た商業的利益を被害者救済のために運用するよう定めている州もある。

 明石市の泉市長は6月30日、同様の法律の制定を国に働きかける方針を示し、「被害者の二次被害防止を法的根拠に規定することが望ましい」と述べた。

 一方、兵庫県弁護士会の幸寺覚会長は「犯罪被害者の気持ちを考えると、営利目的で出版されないような体制づくりは必要だ」としながらも、法律制定には否定的な見解を示した。

 「制定はまだ早い。金(印税)を取り上げるという経済的な面が焦点となり、更生したかどうかなど、問題の焦点がぶれるのではないか」

 太田出版のコメント「『絶歌』の出版の意味・意義に関して数多くの取材要請を受けていますが、会社の方針としてこの件に関して取材には応じていません」

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