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【「絶歌」出版1カ月】印税2千万円超、匿名…「少年法の陰に隠れて卑怯」 問われた出版の良識、内容に社会性はあったのか

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【「絶歌」出版1カ月】
印税2千万円超、匿名…「少年法の陰に隠れて卑怯」 問われた出版の良識、内容に社会性はあったのか

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当初は幻冬舎に…森功氏「覚悟も意義もない内容」

 手記は、加害男性の幼少のころから、事件での逮捕を経て関東医療少年院に入院するまでの第1部と、医療少年院を退院し、日雇い建設業など職場を転々としながら社会生活を営む様子を描いた第2部で構成されている。

 出版関係者によると、加害男性は当初、幻冬舎に出版を持ちかけていた。24年冬、幻冬舎幹部宛てに手記の出版を希望する手紙を送付。幹部は25年初めに男性に面会し、編集作業が始まった。

 作業は約2年続いたが、社内の議論で大きな批判が予想されることや、加害男性が一時、出版を取りやめる意向を示したことなどから、幻冬舎は出版を断念した。加害男性はその後一転して出版を希望したため、幻冬舎幹部が3月、太田出版を紹介したという。

 太田出版は被害者遺族に連絡をしないまま出版。ホームページ上で「少年犯罪を考える上で社会的意味があると考えた」とした。

 かつて「週刊新潮」編集者として加害男性の父親らを取材したジャーナリストの森功氏は、絶歌を一読して「文学的とも思えない嫌な文章を読まされた」と感じた。「事件を起こしたのは病気が原因で、少年院退院後も世間の冷たい風に苦労している、と自己弁護に終始しているだけだ」

 出版の是非については「仮に遺族が反対しても、心の闇や事件を起こした原因を真摯(しんし)に分析した内容であれば、社会性、普遍性があり、出版の意義はあった」と指摘。その上で出版社のあり方に言及し、「絶歌は『言論の自由』以前の問題。私が編集者なら書き直させた。覚悟が見えない匿名で、しかも意義のない内容で出した出版人の神経を疑う」と批判する。

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