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大手銀行IT強化 ロボや人工知能で接客、決済から職員支援まで…政府も規制緩和で後押し

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大手銀行IT強化 ロボや人工知能で接客、決済から職員支援まで…政府も規制緩和で後押し

グランフロント大阪でお披露目されたソフトバンクの人型ロボット「ペッパー(Pepper)」=2014年7月、大阪市北区(甘利慈撮影)

 大手銀行がリテール(個人向け業務)でのIT強化に躍起だ。スマートフォンなどのIT機器がビジネスや暮らしに浸透し、金融機関の決済や接客でも対応を迫られている。先行する米国では革新的なサービスを手掛ける動きが加速。業種の垣根が高かった日本でも、銀行とITの融合に向け当局が重い腰を上げ、規制緩和をにらんだ動きが広がる。(石川有紀)

 人工知能も活用

 みずほ銀行と三井住友銀行は今年から、米IBM製の人工知能型コンピューター「ワトソン」を活用し、業務効率を高める取り組みを始めた。みずほ銀はコールセンターに導入し、取引状況を解析して、最適な金融商品を職員が紹介できるよう支援。最大30分かかっている応対時間も平均8分以下への短縮を目指す。

 みずほ銀は、ソフトバンクが近く一般発売する感情認識機能を持つロボット「ペッパー」を、7月から店舗に試験導入する。三菱東京UFJ銀行も接客ロボの導入を検討中だ。

 送金などのオンライン取引は、スマホなど携帯端末に対応したモバイルバンキングが主流になってきた。ATM(現金自動預払機)より手数料が安い場合が多く、原則24時間どこでも使えるのが魅力で、各行がサービスを競い合っている。

 先を行く欧米

 欧米では、金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を掛け合わせた「フィンテック」と呼ばれるサービスが広がってきた。

 米アップルが発売した腕時計型端末「アップルウオッチ」で注目を集めたのが、電子決済機能の「アップルペイ」。まだ米国のみだが、小売店などの端末にかざすだけでクレジット決済でき、全米500以上の銀行が提携を表明した。

 フィンテックの担い手はIT大手やベンチャーで、大手行の出資・提携も目立つ。「銀行はサービスを拡充でき、IT企業は銀行の信用や顧客基盤が魅力」(金融関係者)のためだ。

 動き出す各行

 日本では、銀行持ち株会社は傘下にIT企業を抱えられない。本業以外でリスクを抱えないよう銀行法が禁じたためだが、銀行とITの融合も阻んでいる。

 だが、「金融グループの多様化」(赤沢亮正内閣府副大臣)を踏まえ、金融審議会は、銀行が電子商取引やスマホ決済に参入することを視野に、法改正の検討を始めた。来年にも新法の国会提出を目指す。

 規制緩和を見越し、大手行も動き出した。三菱東京UFJ銀は協業できる金融ベンチャーを発掘するコンテストを今年から企画。約200件の応募があり、「モバイルでの顧客獲得競争が激しい」(担当者)リテール決済などを強化する。りそなホールディングスは、ウエアラブル端末やビッグデータの活用を探る会議を活発に開き、東和浩社長は「24時間どこでも金融サービスを受けられるようにする」と意気込む。

 銀行とITの融合が進めば、新たなサービスで利便性が高まる期待があるほか、金融業界の勢力図が塗り変わる可能性もある。

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