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【関西の議論】「居場所ないので自分を始末します」勤務医が過労自殺 医療現場は〝ブラック〟? 「医師=聖職者」の呪縛

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【関西の議論】
「居場所ないので自分を始末します」勤務医が過労自殺 医療現場は〝ブラック〟? 「医師=聖職者」の呪縛

公立八鹿病院の男性医師の過労自殺をめぐる訴訟で、鳥取地裁米子支部の1審判決を受けて記者会見する男性医師の両親(手前)=平成26年5月26日、鳥取県米子市 公立八鹿病院の男性医師の過労自殺をめぐる訴訟で、鳥取地裁米子支部の1審判決を受けて記者会見する男性医師の両親(手前)=平成26年5月26日、鳥取県米子市

 さらに、勤務医・研修医の46・6%が健康に何らかの不安を抱え、61・7%が離職を考えた経験があった。とりわけ精神科医は、過重労働やパワハラに苦しむ労働者たちの「心の健康」を支える役割があるのに、他の診療科に比べて離職を考える傾向が強い-というブラックジョークのような実態まで浮かび上がったのだ。

 調査では、医療ミスが起きた場合に考えられうる原因(複数回答)も尋ねている。それによると、最多は医師の負担増(57・5%)と時間不足(同)で、スタッフ不足(55・7%)、過重な業務と疲労(55・0%)がこれに続いた。

 埼玉県内の病院で勤務医として働く全国医師ユニオンの植山直人代表(57)はこう指摘する。

 「日本では医療事故の原因として、医師の過重労働による疲労や判断ミスは一切考慮されてこなかった。これからの医療事故調査には、こうした視点を含める必要がある」

届きにくい勤務医の声

 今年4月11~13日、京都を中心に関西一円で開かれた「第29回日本医学会総会2015関西」。「医学と医療の革新を目指して」とのメーンテーマに沿って、医師の「働き方」に関するフォーラムも行われた。

 テーマは「女性も男性も質の高い働き方ができる時代をめざして」。女性医師が出産や育児とキャリアアップを両立させるための取り組みなどが紹介されたが、男女がともに過酷と感じているはずの長時間労働をいかに改善するかについては、どの登壇者からもほとんど言及がなかった。

 ただ、登壇者の中で唯一、医療関係者ではなかったNPO法人ファザーリング・ジャパンの安藤哲也代表理事(52)は「女性が活躍するためには、男性の育児参画の推進と、残業のない働き方への転換が必要だ」と強調した。

 こうした取り組みは一般企業で重要性が認識されてきたとはいえ、医療現場に持ち込むのはまだ早いのかもしれない。勤務医を労働者ではなく、自己犠牲が当然とされる「聖職者」として扱う風潮が、やはり根強く残っているからだ。

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