産経WEST

【関西の議論】「居場所ないので自分を始末します」勤務医が過労自殺 医療現場は〝ブラック〟? 「医師=聖職者」の呪縛

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【関西の議論】
「居場所ないので自分を始末します」勤務医が過労自殺 医療現場は〝ブラック〟? 「医師=聖職者」の呪縛

公立八鹿病院の男性医師の過労自殺をめぐる訴訟で、鳥取地裁米子支部の1審判決を受けて記者会見する男性医師の両親(手前)=平成26年5月26日、鳥取県米子市 公立八鹿病院の男性医師の過労自殺をめぐる訴訟で、鳥取地裁米子支部の1審判決を受けて記者会見する男性医師の両親(手前)=平成26年5月26日、鳥取県米子市

 残業や早出を繰り返し、日中の勤務時間は連日12時間以上に及んだ。診療科の整形外科としての外来診察や手術以外にも、救急業務があったからだ。夜間緊急時に呼び出される「オンコール」は頻繁ではなかったとはいえ、勤務時間外や休日に月12回の待機当番があり、連絡を受けて出勤することも、もちろんあった。

 自殺する20日ほど前、男性医師はある医療スタッフに「仕事量が多すぎてしんどい。自分の能力を超えている」などと打ち明けていた。このスタッフは元上司2人に相談してみるよう助言したが、男性医師はこう答えたという。

 「ほかの医師たちも精いっぱいの仕事をされていて、余力がないことは分かっている。自分の能力不足を理由に、仕事を減らしてほしいとはいえない」

勤務医の46%が「健康に不安」

 この男性医師に限らず、どんな勤務医も、患者の命と健康を第一に守るという使命感をもって医療行為に臨んでいることだろう。

 だが、自己犠牲をいとわない勤務医たちの献身に頼って24時間体制の医療サービスが成り立っているのだとしたら、いびつな構造だといわざるを得ない。

 大阪大法科大学院の水島郁子教授(労働法・社会保障法)は、日本労働研究雑誌(平成22年1月号)に寄せた論文「勤務医に関する労働法上の諸問題」の中でこう指摘している。

 〈医師がいつ何時も患者のために働くべきであるとの価値観を生みだし、医師を聖職視することにもつながっている〉

 〈医師の特性は、医師という職業が特別であり、労働法上の諸問題とは無縁であるとの評価につながりやすい〉

 「諸問題」の中で特に注目すべきなのは、長時間労働を生む勤務医特有の勤務体制だろう。

 21年に結成され、全国の勤務医が個人加盟する労働組合「全国医師ユニオン」が24年、勤務医や研修医ら約2千人を対象に行った労働実態調査によると、当直時に通常業務を行っている勤務医・研修医は85・3%。当直明けの日は79・4%が通常通りの1日勤務に当たっていた。これは「日勤-当直-日勤」という30時間以上の連続勤務を意味している。

このニュースの写真

  • 「居場所ないので自分を始末します」勤務医が過労自殺 医療現場は〝ブラック〟? 「医師=聖職者」の呪縛

「産経WEST」のランキング