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【関西の議論】「居場所ないので自分を始末します」勤務医が過労自殺 医療現場は〝ブラック〟? 「医師=聖職者」の呪縛

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【関西の議論】
「居場所ないので自分を始末します」勤務医が過労自殺 医療現場は〝ブラック〟? 「医師=聖職者」の呪縛

公立八鹿病院の男性医師の過労自殺をめぐる訴訟で、鳥取地裁米子支部の1審判決を受けて記者会見する男性医師の両親(手前)=平成26年5月26日、鳥取県米子市 公立八鹿病院の男性医師の過労自殺をめぐる訴訟で、鳥取地裁米子支部の1審判決を受けて記者会見する男性医師の両親(手前)=平成26年5月26日、鳥取県米子市

 2審判決で元上司2人が個人の賠償責任を免れたことについて、男性医師の母親(68)はこう批判する。「若い勤務医たちの長時間労働がなくなり、心を豊かにして診療できる職場環境にならなければ、裁判をした意味がない。2人の責任を問わなければ、再発防止につながらない」

医師3人が半年で辞めたパワハラ

 男性医師が通常では考えられないようなメモを残し、死を選ぶほど追い詰められたパワハラとは、どのようなものだったのか。

 男性医師は、回診中に看護師や入院患者の前で説教されたり怒鳴られたりし、介助の要領が悪いという理由で頭をたたかれたこともあった。手術室では「田舎の病院だと思ってなめとるのか」「両親に連絡しようか」と叱責されたという。

 実は、男性医師の前に公立八鹿病院に赴任した医師3人も、半年間勤務した後、パワハラを苦に相次ぎ病院を去っていた。

 1、2審判決はともに「社会通念で許される指導や叱責の範囲を明らかに超えていた」と指摘したが、とりわけ2審判決は「質問してきた新人医師を怒鳴ったり嫌みを言ったりして不必要に萎縮させ、孤立させる職場環境にしていた」と元上司2人を批判した。

「過労死ライン」の2倍を超える長時間労働

 過酷な勤務によるストレスのはけ口として、立場の弱い部下にパワハラをすることは断じて許されない。ただ、元上司2人の人間性だけが問題だったと結論づけるのは早計だ。

 元上司のうち1人は男性医師が赴任する2年前の17年11月、病院に長時間労働の改善を求める嘆願書を出していた。職場全体の慢性的な過重労働が続いてきた結果、男性医師に極端なしわ寄せがきた、ととらえる視点も必要ではないか。

 男性医師の時間外労働は、赴任した19年10月が205時間、翌11月が175時間。厚生労働省が労災認定の基準に用いる「過労死ライン」の月80時間に比べると、実に2倍以上という水準だった。

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