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【美と遊ぶ】うつろに宙を漂う、役に立たない戦闘ロボットはどこに行く 「笹川治子展 ROBOTS」

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【美と遊ぶ】
うつろに宙を漂う、役に立たない戦闘ロボットはどこに行く 「笹川治子展 ROBOTS」

ビニール素材をつかって製作された「うつろ戦士」。展示会場いっぱいを使って宙を漂う(竹川禎一郎撮影)

 これが、作者の意図である。

 31歳の作者は幼いころから、人間魚雷の特攻兵候補となりながら生き残った祖父の戦争体験を聞いて育った。ところが、テレビから流れてくるものといえば、戦闘ロボに乗り込んだ少年が敵と戦い破壊する情景、あるいはテレビゲームのプレー画面のような湾岸戦争のニュース映像。それらをチャンネル一つで切り替えることができる時代にあって、祖父のなまなましい体験とのギャップをどうとらえるべきなのか。そうして戦闘ロボやニュース映像からの戦争のイメージには人間の生身の弱さ、苦痛が抜け落ちているのではないか、と考えはじめた。

 戦闘ロボを虚脱化させることで、見る者は戦争の本質へと目を向けざるをえなくなる。彼女自身、あの藤田嗣治らも描いた戦争画に強い関心を持ち、勉強中だという。

 「楽しみながら、さまざな問いを投げかけ、いろんな人が巻き込まれる作品」とYoshimi Arts代表の稲葉征夫さん。31日まで。(正木利和)

 笹川治子(ささかわ・はるこ) 1983年、大阪府生まれ。専門学校を経て東京芸大に入学。同大大学院先端芸術科修士課程を修了し、現在、博士課程に在籍。

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