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【西成准看護師事件】日中犯罪人引き渡し条約交渉停滞5年 事件捜査の「高い壁」

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【西成准看護師事件】
日中犯罪人引き渡し条約交渉停滞5年 事件捜査の「高い壁」

 日中の刑事司法制度に詳しい一橋大の王雲海教授(比較刑事法)によると、交渉は日本側のニーズだけでなく、中国側も経済成長に伴って国外逃亡する汚職犯が多発した事情があり、約20年前から調整が続けられたものだったという。

 交渉が停滞する理由を、同省は「相手国のことだから分からない」とするが、王教授はその背景に「政治的な日中関係の悪化がある」と指摘した上で、「ほかにも、汚職犯の引き渡しを重視する中国に対し、政治問題化するのを日本が嫌がり、中国が不満を抱いているようだ」とみている。

 一方、日本が引き渡し条約を締結しているのは米韓2カ国のみ。専門家らによると、米英両国が約110カ国で、欧州各国も数十カ国程度。アジアでも中国や韓国が約30カ国で、日本の少なさが目立つ。

 近畿大の辻本典央教授(刑事訴訟法)は「もともと日本は島国で入国管理態勢が整っており、海外の犯罪者が逃亡してくる事例が少なかった」と解説する。だが最大のネックは「欧州を中心に、死刑制度の残る日本への容疑者の移送に根強い抵抗感がある」として、「死刑の対象となりうる容疑者は引き渡し対象から外す特例を設けるなど、日本側も条約締結へ向けた努力が必要」と提言する。

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