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【戸津井康之のメディア今昔(26)】映画で甦る秘話 アジア陸上史の光と影

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【戸津井康之のメディア今昔(26)】
映画で甦る秘話 アジア陸上史の光と影

陸上競技の第一線で活躍してきた朝原宣治さん。「陸上競技の歴史やアスリートの繊細な心理状況にも関心を持ってもらえたら」と期待を込めた

 2020年に開催される東京五輪・パラリンピックに向け、東京・国立競技場の建て替え工事が急ピッチで進められている。1964年の東京五輪をはじめ陸上競技の数々の歴史を刻んできた同競技場で、58年、一人のインド人選手が旋風を巻き起こした。名前はミルカ・シン。今年1月に封切られたインド映画「ミルカ」は、実在したアスリートの人生とともにインド分断の歴史、そしてアジア陸上競技史に埋もれた秘話に光を当て、現在によみがえらせる。

金メダルを前に謎の失速

 「アジア陸上競技の歴史の中にこんなドラマチックな事実があったとは…。僕たち陸上指導者にも勉強になります。また、この映画を通じ、多くの人にアスリートの気持ちを少しでも理解してもらうことができれば」。2008年北京五輪の男子400メートルリレー銅メダリストで現在、大阪ガス陸上競技部コーチを務める朝原宣治さん(42)は、映画を見た感想を興奮気味に語った。

 ミルカは、インドがイギリスの支配下にあった1935年、パンジャーブ地方で生まれた。47年、インドとパキスタンが分離独立し、パンジャーブ地方も印パ両国に分割される。ミルカはパキスタン領となった故郷の村からインド領へ逃れ、家族と離ればなれになった。

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