産経WEST

【九転十起の女(10)】「越後屋」は世界トップ級の小売店…三井家史料に見つけた「別腹」の文字

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【九転十起の女(10)】
「越後屋」は世界トップ級の小売店…三井家史料に見つけた「別腹」の文字

三井家の史料を保存研究し公開している「三井文庫」=東京都中野区

 公益財団法人「三井文庫」の本館(史料館)は東京都中野区にあった。閑静な住宅街の一角。三井家が寄贈した土地という。

 今年50周年を迎え、記念出版として一般向けに「史料が語る三井のあゆみ」を出したばかり。松阪出身の呉服商がどのように三井財閥へと変身していったか、具体的史料とともに語られていて、とても興味深い。

 三井家では元祖と仰ぐ高利の死後、「大元方(おおもとかた)」という独特の統括機関を設け資産管理と事業統括を行った。高利の子孫を「三井同苗」と呼び、大元方はその三井同苗と奉公人の重鎮の合議制で運営。資産を一括管理し散逸を防いだ。

 11家にはそれぞれの割合に応じてお金が配分される。各家の持ち分は全体を220分割した上、北家が62、伊皿子家が30、南家が22・5といった具合。浅子の実家の小石川家(出水家)は22・5。女系の連家となるとヒトケタに下がる。何しろ三井の呉服部門「越後屋」の売り上げは、ピークを迎えた18世紀半ばには世界でもトップクラスの小売店だったというる「三井同苗」の結束の堅さがしのばれるというもの。

 「三井文庫」の起源は明治36(1903)年に設置された三井家編纂(へんさん)室。戦後財閥解体にともなって活動休止となり史料は一時文部省史料館に寄託されたが、昭和40年に財団法人として再発足し現在にいたっている。

 10万点にのぼる古文書の研究は多方面からされているが、三井文庫が最初に手掛けたのが三井家の修史事業。それが11家の歴代当主ごとにまとめられた「稿本三井家史料」だ。

 全部で84巻。浅子の名前は、小石川家全7巻の中の6代三井高益(たかます)、7代高喜(たかよし)の巻に登場する。

「産経WEST」のランキング