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ブラジル国籍、「教えは世界に通用。だれもが集える東本願寺に」 真宗大谷派次期門首、大谷暢裕さん
東本願寺の大谷暢裕次期門首
「お東さん」と呼ばれる国内有数の伝統仏教教団、真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)の次期門首。「世界の反対側からやってきた」と語る通り、ブラジル国籍で物理学者という異色の経歴を持つ。
物理学者「愛読書は論文」
1歳だった1952年、南米開教区の開教使となった父の暢慶(ちょうきょう)師とブラジルへ渡った。幼い頃から念仏に親しんできたが、選んだ職業は物理学者。就職先のブラジル・航空技術大でロケット用炭素素材やごみ処理技術の開発に当たり、「愛読書は論文」というほど研究漬けの日々を送った。
だが、科学技術の発展に伴う環境汚染が避けられないことも悟った。「人間が生きるために科学は絶対必要。でも、追究すれば宗教が大事だと分かる」
40歳のとき、声帯がんを患った父を連れ、本山で営まれた祖父の法要に参列した。それまで何も強制しなかった父は「得度しろ」。導かれるように僧侶になり、結果的に門首後継者になる道へとつながった。
僧侶と門徒の代表である大谷派の門首は、宗祖親鸞の血を引く嫡出の男系男子が世襲するのが原則。だが、いとこの暢顕(ちょうけん)門首(85)に子供はおらず、兄弟3人は「お東紛争」と呼ばれる内紛で宗派を離脱。18年間も後継者が決まっていなかった。
「国際化は絶対に大事」
重責を担うことに迷いはあったが、決め手は「れっきとしたブラジル人」だったことだという。「親鸞聖人の教えは世界に通用する。だれもが集える東本願寺になるには、国際化は絶対に大事」と力を込める。
3月から京都で暮らし、本山での勤行に毎朝、出仕している。4月22日の記者会見では、流暢(りゅうちょう)な日本語で「目標は日本の生活に慣れること。正座は本当にハードです」と、ちゃめっ気たっぷりに語った。(小野木康雄)
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おおたに・ちょうゆう サンパウロ大卒。物理学博士。ブラジル・航空技術大基礎科学部元学部長。平成4年に得度し、26年に真宗大谷派の門首後継者に選ばれた。京都生まれ。
