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踏切内で転倒の79歳男性救助の荒川智美さんに紅綬褒章 「引っ込み思案…自然に体動いた」

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踏切内で転倒の79歳男性救助の荒川智美さんに紅綬褒章 「引っ込み思案…自然に体動いた」

紅綬褒章の受章が決まった荒川智美さん=生駒市の自宅

 「あのときは自然に体が動いていました。人間ってそういうものなんだと思います」。紅綬褒章の受章が決まった奈良県生駒市の荒川智美さん(49)は穏やかな口調で、事故当日を振り返った。

 昨年12月8日午後6時すぎ。自宅近くの近鉄生駒ケーブルカー踏切内で、男性(79)が尻餅をついて倒れているのを発見した。同伴者は女性1人で「立ち上がらせるのは大変」と、手を差し伸べたが、意識が遠のいた状態だった男性は重く、動かない。

 遮断機の警報音が鳴り響く中、「お願いだから立って」と力を振り絞って立ち上がらせた。後ろを振り向くと、ケーブルカーはもう目前。思わず「きゃー」と叫びしゃがみ込んだ瞬間、ケーブルカーの先端部が背後に「ボン」と当たった。病院に搬送され手当てを受けたが幸い軽傷で済み、男性も無事だった。

 「子供の頃から引っ込み思案で、意見や望みを伝えるのが苦手」といい、母親から「もっと積極的な子になりなさい」とよく言われたという。

 一方、困っている人を見たら、つい声をかけたくなる“世話好き”な面も。それでも、これまで人助けなどとは無縁だった。「人格の優れた友人らと比べては、反省しきりの日々でした」と遠慮がちに話す。

 事故当日、一報を聞いた夫(49)はすぐ「大丈夫か」と電話。だが、少し遅くに帰宅した夫は開口一番、「今日のご飯は何?」。日常と変わらない会話に“脱力”したが、「えらかったね」と言ってくれた言葉は胸にしみた。

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