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【安全第一への軌跡】(上)JR脱線事故の背景「日勤教育」 重圧の連鎖…「まさに見せしめ」労使対決? 行きすぎた“根性論”

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【安全第一への軌跡】
(上)JR脱線事故の背景「日勤教育」 重圧の連鎖…「まさに見せしめ」労使対決? 行きすぎた“根性論”

 「あなたたちは、こういう事故を起こした会社に入ったのです」

 4月上旬、大阪府吹田市にあるJR西日本の研修施設「鉄道安全考動館」。乗客106人が犠牲となったJR福知山線脱線事故現場を忠実に再現した巨大ジオラマ模型がある館内で、元駅長で館長を務める二本松良樹(58)が新入社員に語りかけた。

 涙を浮かべ、展示された遺族らのメッセージを読む新入社員。今年入社した566人の大半は当時小・中学生だ。初めて目の当たりにする事故の現実に表情が青ざめ、その場で倒れ込む人も毎年いるという。

 未曽有の事故の教訓を胸に刻み込む“通過儀礼”。新入社員研修で真っ先に組み込まれている日程だ。

 新入社員の一人は「尊い命を預かる責任を感じる。安全で信頼できる鉄道を築き上げたい」と語る。

 考動館は平成19(2007)年4月に開設。過去の鉄道事故の教訓を紹介している。安全を自ら考え、動く社員を育成したいという狙いが施設名にもなった。新入社員だけでなく、約3万人の全社員とグループ会社社員1万人以上が3年に1度受講。現在3巡目で、既に延べ約11万6千人が研修を受けた。

 今年1月には隣に若手社員が安全の仕組みを学ぶ「安全体感棟」も設置。駅員や乗務員、保線など配属先が多岐にわたる社員が担当外の安全設備を学び、疑似体験できる施設だ。意識付けが主体の考動館に対し、安全の実学を担う。

 二本松は「社員全員で『安全第一』の企業風土をつくっていきたい」と語る。

ヒューマンエラー…草むしりさせるケースも

 かつてのJR西の教育体系は、質的に全く異なっていた。その象徴が「日勤教育」。運転士らにミスがあった場合、所属する運転区や電車区の区長が必要に応じて実施する再教育だ。

「再教育で立派に」とJR西、実態は「見せしめ」…そして民営化の成功の陰に

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