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【「正論大賞」記念講演会詳報】
西岡力教授「朝鮮半島は南北で体制の危機を迎えている」「従北派が浸透する韓国…」

第30回「正論大賞」(フジサンケイグループ主催)に輝いた東京基督教大学教授の西岡力(つとむ)氏の受賞記念大阪講演会が3月19日、大阪市北区のリーガロイヤルホテルで行われ、「朝鮮半島の近未来と日本」と題して講演した。詳報は次の通り。
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ポスト朴槿恵「3年後、日本に最悪のシナリオが現実化するかもしれない」
いま、朝鮮半島情勢は重大な時期を迎えている。日本の運命を左右するかもしれず、その問題意識を提起するため話をしたい。
昨年7月、北朝鮮による日本人拉致被害者らの安否の再調査を行う特別調査委員会の設置が決まり、日朝協議が始まった。だが、北朝鮮は調査報告の回答を遅延させている。
これに先立つ昨年3月に拉致被害者家族会のメンバーで安倍晋三首相と面会したとき、首相はこう言った。
「制裁ばかりしていると話し合いができないという人が多い。しかし日本は世界で一番厳しい制裁を北朝鮮に科している。その結果、話し合いが始まることになる」
家族会も制裁一辺倒の運動方針を変えるべきだと批判を受けたが、首相が言うように制裁圧力と国際連携の圧力によって、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」という主張を取りやめなければならなくなった。
なぜ北朝鮮が追い込まれたのか。答えは外貨がないからだ。北朝鮮の貿易統計をみると、国家財政は毎年10億ドルほどの赤字なのに、ベンツは買う、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記がスキー場をつくれと言ったらリフトを買う。その支払いは現金だ。