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【都会で生きる動物たち第1部(上)】100周年迎えた天王寺動物園の「挑戦」…「このままではあと10年でやばい」ヤギもカメも〝総動員〟

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【都会で生きる動物たち第1部(上)】
100周年迎えた天王寺動物園の「挑戦」…「このままではあと10年でやばい」ヤギもカメも〝総動員〟

子供から大人まで喜びの歓声が上がったアムールトラ「虎二郎」との綱引きイベント=大阪市天王寺区

 「せーの、よいしょ!」。元日の天王寺動物園のトラ舎前で、子供たちの歓声が響いた。開園100周年を祝う特別イベントとして行われた、アムールトラの虎(こ)二(じ)郎(ろう)と来園者の綱引き対決。

 寝室から登場した虎二郎は、参加者の持つ綱の先に付いた骨にまっしぐら。大きな両前脚で骨を押さえ込むと、参加者は真剣な表情で綱を持つ手に力を込めた。肉食動物担当飼育員の中山宏幸さん(41)が先頭に立ち、力加減を合図する。10~15分の激闘の末、引き分けに終わった。開園以来初の特別イベントを実施した元日。前年より6割も多い約6700人が訪れた。

 「うまく綱引きができて良かった。トラの力強さを体感してもらえたのでは」と中山さん。前例のない企画だけに、「直前までハラハラでしたが、これからはトラの特徴を伝えられるイベントをもっとしたい」と目を輝かせた。

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 100年に1度の大イベントの舞台裏は大わらわだった。昨年4月に動物園長職が廃止され組織替えした影響で企画責任者がはっきりせず、検討が遅れたためだ。カウントダウンの近づく10月になっても焼き直し案ばかりで、画期的なアイデアがなかった。

 そこで板谷安延改革担当課長(55)を中心に「100周年事業プロジェクトチーム(PT)」を結成。これまで接点のなかった、飼育員ら現場にも声をかけて初めての臨時会議を開いた。「今までにないものを一緒に作りましょう」。PTの呼びかけに、飼育員からはユニークなアイデアがぞくぞくと集まった。

 なかには、ヤギやカメを地下鉄に乗せるという思い切ったPR作戦も。慎重意見も出たが、PTの西岡真獣医師(46)が引率し、動物の体調管理をすることで実現にこぎ着けた。西岡さんは「動物が苦手な人たちも、実際に見て触れることで何か感じ取ってもらえる。動物園も積極的にそんな場を作るべきだ」と強調する。

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