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【心に寄り添う、歌う尼さん(2)】能に打ち込んだ中、高時代 プロを夢見ていた シンガー・ソングライターで僧侶、やなせななさん

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【心に寄り添う、歌う尼さん(2)】
能に打ち込んだ中、高時代 プロを夢見ていた シンガー・ソングライターで僧侶、やなせななさん

能の世界にはまり、プロを目指し練習に励んでいた高校生のころ(右から4人目、本人提供)

 --「歌う尼さん」として僧侶とシンガー・ソングライターを両立されているやなせさんですが、中学・高校時代は別の夢がありました

 やなせ 両親の仕事の都合で中学校に入るときに奈良市内へ引っ越し、しばらくお寺の生活とは離れることになりました。そのときに出会った「能」にはまり、一時期は本当にその道でプロになる、という思いで打ち込んでいました。

 --能と出合ったきっかけは

 やなせ 中学2年のときに、学校の授業で狂言を見る機会があったんですね。子供ながらに感動して、すぐに両親に「習いたい」とお願いしました。けれど調べてみると、奈良市内には能の教室はあるけれども狂言はなかったんです。そのころはあまり違いがわからなかったので、「似たようなもんちゃうか」と思って実際に能の教室を見に行ったら、練習している人がめっちゃ格好良く見えて。それで「習うわ」とすぐ決めました。

 --どんなところに魅力を感じられたのですか

 やなせ 当時は古文の言い回しの美しさにどんどんはまっていきました。また題材が平家物語や源氏物語など、ちょうど中学で習い始めるばかりのもので、その世界の深さに魅了されました。「もののあはれ」の世界や無常観というものにひかれたり、衣装の彩りの美しさや日本古来の神様のお話とか、日本文化に対する関心が一気にわき起こり、砂が水を吸うようにやればやるほど面白くなっていきましたね。

 --何も知らずに飛び込んだ能の世界に、どんどんのめりこんでいった

 やなせ 最初は普通の教室の生徒だったんです。だけどあまりに私が一生懸命なので、師匠から「プロを目指して修業してみいひんか」という話がありました。向こうも伝統芸能とはいえ人手不足の世界ですしね。それで次第に週3回の練習のほかに大阪まで小鼓や太鼓も習いに行くようになり、結局は毎日のように稽古に行く暮らしになっていました。こんなすてきなことに毎日触れられて、仕事にできたらいいなと子供心ながらにプロになることを夢見ていましたね。そんなふうに能に打ち込む生活が中学、高校と続きました。

 --高校は大阪市内の四天王寺高校、大学は龍谷大学へ進まれました。どちらも仏教系ですが、やはり実家のお寺への思いがあったのですか

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