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【都市を生きる建築(30)】大阪万博にルーツ 黒川紀章の発想から生まれた〝未来のホテル〟 元祖「カプセルイン大阪」

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【都市を生きる建築(30)】
大阪万博にルーツ 黒川紀章の発想から生まれた〝未来のホテル〟 元祖「カプセルイン大阪」

人体を包み込むように設計された室内(撮影・西岡潔)

 日本らしい未来感のある宿泊施設として海外でも人気のカプセルホテルが、大阪発祥であることはご存知だろうか?

 1979(昭和54)年に開業した元祖、カプセル・イン大阪は、今日も東梅田で営業中だ。廊下の両側にスリープカプセルが上下2段に並んでいる。一つの大きさは、奥行き190センチ、幅90センチ、高さ90センチ。潜り込むようにして内部に横たわると、目の前にテレビが位置する。右手をコントロールパネルに少し伸ばせば、照明やテレビ、ラジオ、時計などの操作も自由自在だ。

 さまざまな機能が盛り込まれたスリープカプセルを置けば、どんなビルでも宿泊施設に変貌する。こんな便利な仕組みを発案したのは、ニュージャパン観光社長の中野幸雄だった。

 大阪でサウナを展開していた中野は、仮眠室で夜を明かす人々を見て考えた。もっと快適な宿泊施設を安価に提供できないだろうかと。頭に浮かんだのは、1970年の大阪万国博覧会で目にした未来の住まい「住宅カプセル」だった。提唱者の建築家・黒川紀章に話を持ちかけ、やり取りの末に、今も使われているスリープカプセルの初代が誕生した。

 黒川は未来を先取りするような建築作品と言論で時代の寵児(ちょうじ)となったが、その発想は機能一辺倒ではなかった。多くの人を惹(ひ)きつけたのは、ロマンティックな未来のイメージだったろう。このスリープカプセルは、空間効率を犠牲にしてでも、人体を包み込むようにデザインされている。いかにも黒川らしい作品だ。

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