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【福嶋敏雄の…そして、京都】(28)小栗判官 絶世の美女は大蛇…中世からの“心霊スポット”深泥池

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【福嶋敏雄の…そして、京都】
(28)小栗判官 絶世の美女は大蛇…中世からの“心霊スポット”深泥池

積雪の中、マガモが泳ぐ冬の深泥池=京都市北区池端町(加藤孝規撮影)

 若者向けのしゃれたカフェやファッション店が建ちならぶようになった北山通りから、鞍馬(くらま)街道に入ってしばらく行くと、ドロリとした池がひろがっている。深泥池である。一般的には「みどろがいけ」と読むが、京都の人は「みぞろがいけ」と呼ぶ。名前もドロリとしている。

 いまは知らないが、京都の料理店などで出される味噌汁には、たいていこの池で採れるジュンサイが入っていた。ジュンサイもドロリとした、不思議な食べ物である。

 ひさしぶりに訪れたが、池に沿った道幅の狭い鞍馬街道には松ケ崎の山々を背景にして、新興の住宅街がびっしりと軒をつらねていた。マンションもあった。ひっきりなしに車が行きかっていた。

 遠い記憶をたどれば、かつてこのあたりには、池に面してウエスタン調のレストランがポツンと建っているだけであった。深夜まで営業していたので、ときたまのぞいたが、店の小さな赤いネオンが黒々とひろがる池の面にゆらゆらと映えて、なかなか風情があった。その店もなくなっていた。

 周囲1・5キロほどだが、池は川につながっていないため、底には氷河期以来の泥土層が積みかさなっている。ジュンサイのほか、貴重な動植物が多く生息している。池の3分の1ほどを占める陸地のような雑草地は浮島で、季節によって浮かんだり沈んだりする--というガイド的な事実は、池のそばにあった解説板によって知った。

 季節は忘れたが、見たこともないカレンな白い花が池の面にびっしりと浮かんでいたのを思いだした。

 古くからの池だから、さまざまな伝承や言い伝えが残されている。なかでも説経節「小栗判官」の舞台になったことで知られる。

 中世、二条大納言兼家の嫡子として生まれた小栗判官は21歳のとき、鞍馬寺にお参りに行く途中、池のちかくの市原野のあたりで、漢竹(かんちく)の横笛を取り出して吹きはじめた。

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