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【亀岡典子の恋する伝芸】ギリシャ神話と日本の伝説の融合 最後はバイクの爆音とともに疾走…システィーナ歌舞伎の新しさに呆然

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【亀岡典子の恋する伝芸】
ギリシャ神話と日本の伝説の融合 最後はバイクの爆音とともに疾走…システィーナ歌舞伎の新しさに呆然

システィーナ歌舞伎「百合若丸弓軍功 ユリシーズ」のラストシーン。右から片岡愛之助と大和悠河=徳島県鳴門市のシスティーナ・ホール(松竹提供)

ギリシャ神話の女神と蒙古軍撃退した武将の恋

 “和と洋のコラボレーション”を謳った新作歌舞伎で見る者を驚かせる「システィーナ歌舞伎」が、今年も2月20日から22日まで徳島県鳴門市のシスティーナ・ホール(大塚国際美術館内)で開催された。

 今年は、ギリシャ神話を織り込んだ「百合若丸弓軍功(ゆりわかまるゆみのいさおし) ユリシーズ」(作・演出、水口一夫)。幸若舞(こうわかまい)や古浄瑠璃などに伝わる「百合若大臣」の物語をもとに、片岡愛之助ふんする勇敢な日本の武将・百合若と、ギリシャ神話に出てくる海の女神の恋をまじえたロマンあふれる舞台。日本と西洋を時空を越えてつなぐ壮大なストーリーに、何でも飲み込む歌舞伎の懐の深さを改めて感じたものであった。

 蒙古の来襲を撃破した百合若(愛之助)だが、その帰途、領土をわが物にしようと企む家来によって絶海の孤島に取り残される。許嫁の立花姫(大和悠河)によく似た海の女神カリュプソ(大和=2役)と恋に落ちた百合若は不思議な箱を貰い受け-。

 戦、復讐、恋など歌舞伎の世界観に、ギリシャ神話や日本の浦島太郎伝説、京劇まで織り込まれ、弦楽四重奏やパーカッションの演奏が奏でられる。一見、カオスのようだが、一つの世界がきちんと出来上がっているのは、歌舞伎の芸や世界がしっかりと根幹にあるからであろう。

 驚かされたのはラストシーンだ。いきなり現代にタイムスリップしたかのように、愛之助ふんする百合若が現代の若者として登場、超ミニのウエディングドレス姿の大和をバイクに乗せて奪い去る。まるで、映画のワンシーンでも見ているような展開に場内は騒然、大歓声がわき起こった。

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