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【人生の楽譜・間奏曲】知ってほしい「18トリソミー」 難病と向き合い子供の生きる力に寄り添う 患者家族らの団体が出版

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【人生の楽譜・間奏曲】
知ってほしい「18トリソミー」 難病と向き合い子供の生きる力に寄り添う 患者家族らの団体が出版

桜井浩子さんと出版された「18トリソミー~子どもへのよりよい医療と家族支援をめざして」=大阪市北区

 桜井さんは平成9年に長女の千笑(ちえみ)ちゃんを出産。18トリソミーのわが子の命は「もって2カ月」と医師から宣告された。衝撃を受けながら医学書を読みあさったが、「予後不良」「致死的」といった暗澹(あんたん)とした気持ちになる記述ばかりで、治療法など知りたい情報は得られなかった。

 息をするのも苦しげな千笑ちゃんを前に、医師からは「18トリソミーだから仕方がない」という雰囲気が伝わり、見放されたと落胆したこともあった。だが、千笑ちゃんは目にも重い障害があったが、母の存在をしっかりと感じ取っていた。「お母さんがそばに来るとわかるみたいで、体をよく動かす」。看護師のその言葉が何よりうれしく、娘へのいとおしさが募った。

 千笑ちゃんは生後75日で亡くなったが、同じ悩みを抱える親が寄り添える場をと、13年に会を設立。「娘のために何かできることはないかという一心でした」と振り返る。短くても共に過ごした濃密な時間を忘れることはなく、むしろ活動を通じて「娘は自分の中で一緒に生きていると確信しています」と話す。

 25年には、血液検査から高い確率で18トリソミーやダウン症など胎児の染色体異常の有無が確認できる新型出生前診断が始まった。「命の選別につながりかねない」と懸念する声もある。桜井さんは、新型出生前診断について「それぞれの考え方がある」としながらも、「18トリソミーの子供を積極的に治療しない病院が今もあるなど、情報がないために病気が理解されにくい状況は変わっていない」と指摘する。

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